書籍『ボードゲーム・ブロードウェイ』5月1日発売
新紀元社は5月1日、書籍『ボードゲーム・ブロードウェイ』を発売する。著・安田均/グループSNE、B5版218ページ、3080円(税込)。
2011~2019年に毎年刊行されていた『ボードゲーム・ストリート』をもとに、それ以降の新作、これまで紹介されなかった隠れた名作もピックアップした名作132点のボードゲームを紹介。リプレイ、コラム記事も交えつつ、ライトなゲームからゲーマーズゲームまで幅広く取り上げる。
アラカルト記事としてボードゲームカフェ、ますます市場をにぎわせる同人ゲーム、海外と同時期に発売されることも多くなった翻訳ゲームをテーマごとに深く掘り下げる。
執筆者たちがお気に入りゲームについて語り合う座談会を収録し、最後に「アナログゲームの時代」として2010年以降のボードゲーム界の流れを総括する。
12年間にわたる現代ボードゲームシーンを概観することで、新定番となりうる面白い作品を見つけたり、見落としていた作品を再発見したりできる一冊だ。
オスティア(Ostia)
気持ちいいマンカラ
ローマの港オスティアで大船団のオーナーとなり、船を作り、途中の港に建物を建てつつ目的地を目指すリソースマネージメントゲーム。うちばこやがキックスターター限定で発売した。マンカラ方式による資源獲得とアクション選択は他作品にも見られるが、制限がきつくなく思い思いの戦略が取れる作品となっている。
手番には個人ボードにある6エリアから1つを選び、まずはそのエリアの資源を船の数だけ獲得する。それからそのエリアにある船を時計回りに分配して、最後の1個を置いたエリアのアクションを行う(マンカラ方式)。アクションは移動、造船、注文、建築、交易、監督の6つ。監督は残り5つのうち好きなアクションができる上に、もう1回マンカラできるお得アクションとなっている(ただし資源はもらえない上に、そこで船が最後の1個になるパターンは続かないため、こればかりやっているわけにはいかない)。
「移動」ではメインボード上の自身の船を4つのゴールのいずれかに向かって進め、道中で資源やトップ通過ボーナスを獲得できる。「造船」では個人ボードの船を増やしたり、船を強化して新しい船を出航させたりする。「注文」でカードで指示された資源をアンフォラ(壺)に変換し、「建築」で船が通過した港に建物を建ててアクションを強化する。「交易」でさまざまな港の効果を使う。それぞれのアクションでは資源を使い、多く貯まってから選択したほうが効率がよい。
終了条件は誰かの船が一定数目的地に到着する、アンフォラがなくなるなどいくつかあり、誰がどこでトリガーを切るかの駆け引きもある。最後に建物・船・アンフォラなどが勝利点になるが、ゲーム中に上昇させる「褒章」によって1個あたりの得点が上がっていくところがポイントだ。
公称プレイ時間は100~120分と、海外作品・初回プレイなら3時間以上かかりそうな設定だが、実際にも2時間以内でプレイできる(海外作品なら75~90分と表記するレベル)。「監督」というジョーカーアクションと、さまざまな使い方ができるお金があることで、資源が1足りなくなったり、手が詰まったりせず、のびのびと好きなことができる。マンカラ内に船が増え、建物が置かれることで手に入る資源が増えていく成長の楽しさもあり、ゲーム後半の加速も気持ちいい。
さらに拡張セットでは初期資源があり、序盤からスピーディなプレイができる。盤面の初期タイル配置によって戦略も変わり、リプレイアビリティも高い。海外作品に全く引けを取らない国産ユーロ系重量ゲームであり、今後普及版の一般発売が待たれる。
Ostia
ゲームデザイン:戸塚中央/イラスト・ウラベロシナンテ/アートワーク・別府さい
うちばこや(2022年)
2~4人用/14歳以上/100~120分