みんなのイ〜ブン(”Even” by Everyone)
本音と建前を使い分けて
『ストリームス』などシンプルながらヒネリのきいた作品を制作しているサイ企画が今年のゲームマーケットで発表した作品。作者によれば『プライバシー』などの投票ゲームをもっと手軽に遊べるようにしたという。多人数ゲームは今年、あまり発表されなかったので貴重である。
お題に対して、イエスかノーか、イーブンを出す。イエスかノーは多数派ならポイントになるが、イエスとノーが同数だった場合、イーブンにポイントが入る。山札がなくなったらポイントの多い人が勝ち。ルールはこれだけである。イーブンを出す人が複数いるため、プレイ人数は奇数でなくてもかまわない。
「1年に3回以上、映画館に行く」……多数派に入って得点を取るには、自分の答えを正直に答えるだけではいけない。全員の顔を見て、このメンバーならイエスだろう、ノーだろうと予想しなければならない。しかしそれが難しい。「豚骨ラーメンより味噌ラーメンが好き」とか、知るかっつーの。
ゲームマーケットで販売していた「大人用追加カード」も使用。『プライバシー』ほど尖った質問ではないので、女性も混じっていたがセクハラにはならなかった。「異性の心を盗んだことがある」とか、男性はなかなかイエスといえない。
「人の心は3億円で買える」という質問に、「私だったら100万くらいでOKです」とdjさん。ノーと答えたのは私だけだった。皆が本音で答えてきているので、建前ではいけなかった模様。「美人はたいてい心もキレイ」はほとんど満場一致でノーが出た。
イーブンは滅多に当たらない分、当たるととても気持ちいい。自分の予想を覆して全員が逆の答えを出してきたり、少数派の答えからその人の性格が垣間見えたりして楽しかった。
みんなのイ〜ブン
居椿善久/サイ企画(2012年)
3〜10人用/8歳以上/15分
すごろくや:みんなのイ〜ブン
リオグランデ社、ハンス社との提携を解消
『ドミニオン』や『レース・フォー・ザ・ギャラクシー』を手がけるリオ・グランデゲームズ(アメリカ)は、今年の秋から、ハンス・イム・グリュック社(ドイツ)との提携を解消することを発表した。ハンス社の製品の英語版は、今後ズィーマンゲームズ(アメリカ)から発売されることになる。ハンス社の広報が明らかにした。
『カルカソンヌ』をはじめ、これまでヨーロッパゲームを北米に紹介してきたリオグランデゲームズの事業整理に伴う措置。『ドミニオン』シリーズのヒットが背景にあると見られる。したがってリオグランデゲームズ発の製品については、提携解消後も継続したい考えだ。
ズィーマンゲームズは1999年にゼヴ・シュレーシンガー氏によって設立され、ヨーロッパ・アメリカに限らない幅広いラインナップで知られる。『パレード』『アールエコ』『グラグラカンパニー』『ルールの達人』『シャドウハンターズ』など日本人の作品も多く出版されている。一方、幅広いラインナップのために経営難に陥り、昨年夏にフィロソフィア(カナダ)に買収されている。
フィロソフィア社はすでにハンス社のフランス語版を制作しており、今後はハンス社のフランス語版・英語版が1つのグループ内で作られることになる。
日本ではハンス社の製品はメビウスゲームズがドイツから直接輸入し、リオグランデ社の製品はホビージャパンが日本語版で扱っているため、大きな影響はないとみられる。
・Hans im Glück:Lizenzwechsel