ギルドマスター(Guildhall)
揃う前に使え
増えれば増えるほど強い職人の効果で、勝利点を稼ぐアメリカのカードゲーム。日本語版が先月発売されたばかりである。カードの使い方にテクニカルな部分があって面白い。
手番には職業カードを出す、好きなだけ捨てて6枚まで補充、揃った職業カードを勝利点カードに換えるという3種類のアクションから2つを行う。手札があるうちは、カードを2枚出すのが基本。
職業カードを出したとき、同じ種類のカードを自分のギルド(場)に何枚出していたかによって、効果が変わる。例えば「機織り」は、初めてなら「手札から1枚を自分のギルドに加える」だが、4枚出していると「手札から好きなだけギルドに加えて、2枚を回収する」になる。職業は6種類。できれば2,3種類に絞ってカードを出していったほうが、強い効果を得やすいだろう。
職業カードはそれぞれ5色あり、1種類の職業について同じ色は出すことができない。したがって、だんだん出せるカードが少なくなる。ほかのプレイヤーからもってくる「商人」や、捨て札からあさる「歴史家」を駆使してほしいカードを集めよう。
こうして全色揃ったら、中央にある任務(勝利点)カードに交換できる。このカードにも特殊効果があり、強いものは勝利点が低い。得点重視か、将来を見据えて特殊効果重視か、悩むところだ。20点先取で勝利。
急いで揃えず効果をじっくりと使うことも必要
3人プレイで30分。最初全員が暗殺者から始めたのでお互いに攻撃しあって停滞したが、その中からkarokuさんが農民で地道に勝利点を集め始める。そのうち、踊り子で手札を増やし、機織りで出しまくるというコンボで一気に片をつけた。私の方は、急いで揃えようとするあまり、効果を使わないまま5枚集めてしまうことが多く最下位。
1つの職業をあえて揃えないで途中で止めておいて、強い効果を使ってほかの職業を増やすというテクニックが求められる。
Guildhall
H.ファン/アルデラック・エンターテインメント・グループ(2012年)・アークライト(2013年)
2~4人用/12歳以上/30分
キーフラワー(Keyflower)
取られたー! 使われたー!
土地タイルを競り落として、自分の村を豊かに発展させるゲーム。イギリスのR&Dゲームズによるキーシリーズ(キーマーケット、キーハーベスト)の最新作で、エッセン・シュピールの人気投票「スカウトアクション」で1位となった。タイルの効果のコンボをあれこれ考えるのが楽しい。
ゲームは春夏秋冬の4ラウンドで行われる。毎ラウンド、新しい土地タイルが登場し、手持ちの労働者コマをビッド。これと同時に、村の土地タイルに労働者コマを置いて効果を発動する。競りとワーカープレイスメントが同時進行で行われるところがこのゲームの特徴である。
競りは、ほしいタイルの自分の面に労働者コマを置く。このとき、ほかの人より多くの労働者コマを置かなければならない。労働者の数は限られているから、無用な争いを避けて最小限度で競り落としたいところだ。そのためには、2個ぐらいを早めに置いて、「3個置いてまで取るほどではないな」と思わせなければならない。
村の土地へのワーカープレイスメントも、早めのほうがよい。というのも、誰の村にある土地タイルでも使えるからである(自分の村の労働者はラウンド終了時に帰ってくるが、ほかの村の労働者は帰ってこない)。同じ土地は3回まで使えるが、後で使うほど労働者が多く必要なので、誰かに使われる前に使ったほうが労働者の節約になる。
またどちらも労働者は、前に置かれたものと同じ色でなければならないという縛りがある。そのため、競りもワーカープレイスメントも早めに置いたほうが有利。労働者の数が限られている中、どこを優先するべきか大いに迷う。しかもラウンドが進むにつれてタイルが増えるので、考えるところが非常に多い。
さて、タイルの効果はというと、黄金、鉄、石材、木材という4種類の資源を産出するもの、資源を別のタイルまで運ぶもの、鉄床、つるはし、のこぎりという3種類の技術タイルを産出するもの、労働者を増やすもの、それらを得点にするものなどがある。さらに、資源などを支払うとタイルを裏返して効果をグレードアップできる。得点への道筋は多種多様なので、ほかの人と競合しないように気をつけて、競り落とすタイルを考えたい。4ラウンドの合計で一番得点の高い人の勝利。
5人プレイで2時間。最終ラウンドに登場するタイルが最初に配られ、それを見ながらゲームを組み立てる。私は「写字生」(技術タイル3種類1組で10点)だったので、技術タイル集めに力を入れた。うまいこと集まったのだが、労働者を増やしていなかったため、肝心の写字生を競り落とし損なう。急遽路線変更を余儀なくされて3位。最終ラウンドのタイル頼みというゲームの進め方はうまくいけば大得点が入るが、外れるリスクも大きい。1位はゲーム中から黄金(これだけでポイント)を集め、さらに大量の資源で「織物商人ギルド」でも得点したcarlさん。
同じ系統のタイルでも、序盤、中盤、終盤によって重要度が変わる。その変化を見抜いて今の旬を競り落とし、効果的に使えるかどうかも大切。そこに競り特有のままならなさ(入手できるかどうかは他人次第)が加わり、バランスのよい戦略ゲームになっている。
Keyflower
S.ブリースデイル、R.ブリーズ/R&Dゲームズ(2012年)
2~6人用/12歳以上/90分