陰謀の街(Intrigue City)
立て直して崩されて
街の中にある6つのギルドの影響力を調整して支持を取り付け、支配者を目指すボードゲーム。今年シュピールに初出展したギリシャのパープルゲームズの作品である。シュピールのプレビューで説明を聞いて興味を持ち、後でブースの前を通りかかったところで遊ばせてもらった。
マイボードには6つのギルドのマスが扇状になっている。いずれかのギルドに、影響力コマをちょうど6ポイント分置いた状態でラウンドを終えれば、そのギルドのカードがもらえる。
アクション選択は中央のボードにコマを置いて行うワーカープレイスメントである。コマを加えたり取り除いたり、移動したりして影響力を調整する。このとき、陰謀トラックで最も進んでいない人から手番を行うこと(いわゆる『テーベ』方式)と、ほかのプレイヤーのボードに手を加えて妨害できる攻撃コマの存在が面白い。
アクションには陰謀度があり、アクションを行うたびに陰謀トラックのコマを進める。手番は常に、最も進んでいない人から。ゲームを始めるとすぐに分かるが後手番が圧倒的に有利なので、陰謀トラックのコマはできるだけたくさん進めておきたい。一番進むのは「何もしない」というアクションだが、これもワーカープレイスメントによって1ラウンドに1人しか選択できない。
各プレイヤーは灰色の防御コマと黒の攻撃コマをもっており、どちらかをアクションスペースに置く。防御コマだったら自分のボードからコマを取捨でき、攻撃コマだったらほかの誰か(トップだと思う人)のボードからコマを取捨する。攻撃されると、影響力コマ6ポイントのギルドが崩されてしまうので、防御コマで立て直さなければならない。一方、攻撃する立場からすれば相手が完成した後のほうが有効だ。防御が先か、攻撃が先か悩むところである。その際、陰謀トラックによる手番順よく見ておきたい。
全員がコマを置き終わったら、影響力が6ポイントになっているマスのギルドカードを取る。このギルドカード、何ラウンドかに1回得点を増やすチャンスがあって、みんなの選択で1枚の価値が変わるようになっている。価値の高いギルドは、攻防がいっそう激しくなるだろう。
最後に陰謀トラックで最も多く進んでいる人などにボーナスがあり、手持ちのギルドカードの価値を計算して最も多い人の勝ち。
4人プレイで1時間程度。好調なkarokuさんをみんなで攻撃する展開。karokuさんは潰されたギルドに代わって次のギルドを育てるという周到な作戦で結局誰も追いつけず1位。攻撃が必須なので、序盤はまんべんなく、後半はトップの人に集中して叩き合うのがアグレッシブだった。攻撃された後の立て直し方にも工夫があるためにあまりすさまず、最後までエキサイティングなゲームだった。
Intrigue City
C.ギアナコウラス、M.ザハリアディス作/パープルゲームズ(2013年)
2~5人用/12歳以上/60分
国内未発売
・Purple Games:Intrigue City
メイフェアゲームズ、ルックアウトシュピーレを買収
メイフェアゲームズ(アメリカ)は今週、エッセン・シュピールの直前にルックアウトシュピーレ(ドイツ)の経営支配権を購入したことを発表した。ただしラリー・ロズナイ社長によると、当座はルックアウトシュピーレのゲーム制作に関与せず、各国語版のとりまとめと、英語版の販売に留まる見通し。
大企業が小さな出版社を飲み込んだということでなくて、対等な提携関係であることは、ロズナイ社長の着ていたTシャツからも分かる。表はメイフェアの「メイ」と、ルックアウトの「アウト」、裏はその逆に「ルック」と「フェア」と書かれていた。日本語版の制作も、これまで通りルックアウトシュピーレがデータの取りまとめや契約を担当する。英語版の販売がメイフェアから行われること以外、何も変更はないことをロズナイ社長は強調した。
これまでルックアウトシュピーレの英語版を制作・販売していたズィーマンゲームズについては、現在の契約が終わり次第、メイフェアゲームズとの契約に切り替えられる。また、メイフェアゲームズは『カタンの開拓者たち』などでコスモス社(ドイツ)と提携していたが、今後も継続しつつ、ルックアウトシュピーレに重点を入れていくという。
ルックアウトシュピーレにとっては、広大なアメリカ市場での展開を望めるだけでなく、これまで費用面から出展を見合わせてきたニュルンベルク玩具見本市など大きなゲームフェアにも出展できるようになり、ドイツ国内での展開も見込む。ルックアウトシュピーレのK.フランツ氏は、「メイフェアの人も我々も、ポジティブに捉えています」とコメントしている。
なお、注目の新作『カヴェルナ』はホビージャパンが日本語版制作を予定しており、『ブレーメンの港』などその他の作品も順次取り扱われることになっている。
・Boardgamegeek News:Spiel 2013 Update: Mayfair Games Buys Lookout Games