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ロシアンレールロード(Russian Railroads)

より遠く、より新しく
ロシアンレールロード
ゲーマーの信頼厚きハンス・イム・グリュック社(ドイツ)では、ここ数年で一番の重量級作品だという。鉄道というテーマも相まってゲーマーの注目度は高く、シュピールのスカウトアクションで1位になった。緻密な戦略性と多彩な得点パターン、ワーカープレイスメント特有の「人足りない!」「先に置かれた!」という悩ましさは、今のゲーマーの快楽ポイントを見事についてくる。
シベリア鉄道、豪華なサンクトペテルブルク線、新しいキエフ線の3つの路線に線路を引き、列車を走らせるゲーム。鉄道だけでなく、技術革新にも力を入れて、毎ラウンド入る得点を増やしていく。
ゲームの骨はワーカープレイスメントである。いろいろあるアクションスペースに、手持ちの労働者コマを置いてそのアクションを行う。前に誰かが選んだアクションは行えない。これを手持ちの労働者がなくなるまで続ける。
アクションスペースは26もあるが、大きく分けて線路敷設、列車配置、技術革新、技術者の獲得の4種類である。大きく分けて、路線を伸ばす戦略と技術革新を進める戦略があるので、別々に見ていこう。
路線を伸ばすには、線路を敷設して、そこに列車を配置することになる。線路敷設は、マイボードの3路線にある線路コマを進めることで行う。線路はただ伸ばすだけでなく、黒、灰色、茶色、象牙色、白という5種類があり、より良質の線路を延ばすことで得点が増えるようになっている。ただし、灰色は黒が通った後、茶色は灰色が通った後・・・というように、高級な線路は後から敷かなければならない。しかし1回のアクションで進められるのは1つのコマを1マスか2マスだけ。地道な作業が求められる。さらに、線路を伸ばした後にその長さを満たす列車を配置する必要がある。最初は1マスしか進めない手動式の車が1台だけ。シベリア鉄道は13マスもあり、終点までたどり着けるかは微妙なところだ。遅々として進まないのは共産主義への皮肉だろうか?
技術革新は、マイボードにある技術度のコマを進める。途中から、工場を作らないと技術度が上がらないようになっていて、しかも工場は列車タイルを裏返して使うものだから、鉄道と両立しにくい。しかし工場を作れば、得点などのさまざまな恩恵が受けられる上に、さらに技術革新を進めれば毎ラウンド高得点が入ってくるので魅力的である。
もちろんこの2つはどちらかだけでは勝てず、両方をうまく伸ばしていくのが一番強い。というのも、どちらも進めた先々でボーナスカードなどの特典がついてくるからだ。「?」と書かれたところまで列車が走るか、技術革新が進めば、何枚かあるチップから1つを選んで、強力な恩恵を受けられる。これで自分の弱点になっている要素を補強したり、戦略をスピードアップしたりできる。
技術者は、流動的なアクションスペースである。強い効果があるが、誰かが入手すると、その人だけが使えるようになる。さらにこの技術者の数によって得点が入ってくるので疎かにできない。
ゲームは7ラウンドあり、毎ラウンド最後に、マイボードの状況によって得点を入れる。第1ラウンドは5点とか6点とかいっていたのが、最終ラウンドは100点前後の得点が入ってくる成長ぶりが気持ちいい。ゲーム最後にボーナスを得て、得点の多い人が勝ち。
4人プレイで2時間。序盤は技術革新に特化したcarlさんが早々と得点をマックスにしてダブルスコア近いリード。逆転が難しいのではないかと思われたが、線路をほとんど伸ばさなかったのが後に響いた。鴉さんが工場をうまく使って路線を急速に延伸。点数の伸びがやや鈍ったcarlさんを抜いて1位となった。私は技術者でトップになったものの、序盤に技術革新を怠ったため成長が遅れ3位。
ほしいアクションをほかの人に取られることも想定して、限られたアクションでできるベストは何だろうかと考えるのはかなり頭を使う。列車が移動するわけではないので鉄道ゲーム感は薄いが、その分シビアなマネージメントにしびれた。
Russian Railroads
H.オーレイ、L.オグラー作/ハンス・イム・グリュック(2013年)
2~4人用/12歳以上/120分
メビウスゲームズ:ロシアンレールロード

Posted in ニュルンベルク14

ニュルンベルク’14新作情報:コスモス

コスモス社はファミリー向けにたくさんのリリースを予定しています。
北風北風(Norderwind)
K.トイバー作、2~4人用、10歳以上、45分。
『カタンの開拓者たち』の作者による久々の新作。街は海賊の攻撃に苦しめられていました。プレイヤーは自由交易船を率いて街を助けに行きます。食料などの品物を街に届け、道中で出くわす海賊たちと戦います。大砲がなければ戦いは不利ですが、高価です。戦いに勝てば、船の装備を増やし、船員を増強できるでしょう。交易と戦闘の両方で手柄をたてた人が勝者です。

ナマケモノナマケモノ(Faulpelz)
R.ドーン作、2~4人用、8歳以上、30分。
ナマケモノ、カバ、ライオン、パンダたちが集められるのを待っています。動物によって得点が異なり、カードごとにどの動物を集めたいか決めます。取ることができるのは誰も選ばなかったものだけですので、ほかの人が選ばなさそうなものを読む必要があります。得点の高いナマケモノを集めた人が勝ちます。

アンドールの伝説:新たな勇者アンドールの伝説:新たな勇者(Die Legenden von Andor – Neue Helden)
M.メンツェル作、2~6人用、10歳以上、60~90分。
昨年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞受賞作で日本語版も発売されているファンタジーアドベンチャーゲームが、6人まで遊べるようになります。4人の勇者が入っており、好きなものを選んで加えます。基本セットと、すでに発売されている拡張セット『星の盾』に加える事ができます。4人以下でプレイする場合でも、この拡張セットの中から選んで違った展開を楽しむことができます。

ディメンジョンディメンジョン(Dimension)
L.ルショー作、1~4人用、8歳以上、30分。
『ウルル』に続いて2作目となるデンマーク人デザイナーの作品。ボールを組み合わせるパズルゲームです。毎ラウンド6つの課題が出され、その課題に沿ってボールを上、下、横に組み合わせます。ある色とある色が隣接してはいけないなどといったルールがあり、容易ではありません。早さだけでなく、より条件をたくさん達成した人が勝ちます。

むかつく袋むかつく袋(Blöder Sack)
R.ツァ・リンデ作、2~4人用、8歳以上、25分。
5つの袋をサイコロで奪い合うダイスゲーム。袋ごとにサイコロで最多数を取った人が獲得できます。しかし袋は早く取られてしまうこともあります。思い切りの良さとサイコロ運で高い袋を狙いましょう。ほかのプレイヤーに盗まれないように気をつけて。S.ドラと組むことが多いリンデがソロで発表するのは11年ぶりとなります。

ガーデンズガーデンズ(Gardens)
P.リストセラ作、2~4人用、8歳以上、45分。
『1、2、3で見つけてね!』の作者であるスペイン人デザイナーの作品。2008年に『フラワーズ』というタイトルで発表されていたものがメジャーデビューしました。同じ畑をみんなで耕し、花を植えます。タイルを置くにつれて畑が広がり、より多くの区画に花を植えられるようになります。2人の庭師を使って、好きな花を上手に植え、畑の陣取りを制した人が勝ちます。

笑ってはいけない笑ってはいけない:うんち屋(NichtLustig – Fäkalini)
M.リーネック作、2~4人用、10歳以上、20分。
ドイツのアニメを元にしたゲームシリーズの新作。うんち屋とは、熟練のトイレ配管工であり、魔術師でもあります。トイレのつまりを直した後に、お客さんに手品を披露します。サイコロを振って、ひどいタイルを押し付け、よいタイルを取り合います。

稲妻のもの稲妻のもの(Blitzdings)
A.インズ作、3~6人用、10歳以上、20分。
『ジャングルスピード』系のリアクションゲーム。順番にカードをめくっていって、ほかの誰かと同じシンボルだったら、相手のカードに書かれたお題をすばやく言います。「スポーツ」と書かれていたらサッカー、「乗り物」と書かれていたら鉄道などと言わなければなりません。2010年に『アノミア(Anomia)』というタイトルで発売されたゲームのドイツ語版です。

アイ・ノウアイ・ノウ(Eye Know)
P.ベルトン&G.シンクレア作、2~8人用、12歳以上、45分。
政治家、名所、動物、ブランドなどの写真カードを選んで、その写真に関連したトリビアクイズに答えます。イエス・ノー、選択式、フリー回答が選べ、正解したときにもらえるポーカーチップが異なります。また、回答権を競りにかけてほかのプレイヤーに渡すこともできます。iPhoneアプリを使うこともでき、写真を見分けるのに要した時間によってもらえるチップが変わります。2007年に同じタイトルで発売され、メンサ賞にも選ばれた作品のドイツ語版です。
このほかにドイツのテレビ番組『クレイジーキャット』をもとにしたミニゲームが5タイトル発売されます。