言い淀んでも怪しい
りゅうほうの弟子になって守護霊を呼び出すゲーム。『キムの名は。』『オーデンの触祭』などネタと内容を両立させた作品を発表し続けている北条投了先生の作品で、ゲームマーケット2017秋に芸無工房から頒布された。正体隠匿系で、ヒントをもとに1人をあぶり出す。
各プレイヤーに1冊ずつ「○○の書」が配られ、ダイスで毎回ページ数と番号を決める。そこには今回守護霊を呼び出す有名人の名前が書かれているが、同じものが書かれている場合と、1人だけ別なものが書かれている場合がある。
順番に、その守護霊を呼び出した体で一言述べる。「男です」「昔の人です」「外国に住んでいました」……など。多数派だった場合は、1人だけの少数派をあぶり出し、少数派だった場合は、自分が少数派だとばれないようにして多数派が何かを推理する。そのためどちらの場合も自然と曖昧なヒントになるところが面白い。『エセ芸術家ニューヨークへ行く』をお絵描きではなく言葉にしたようなプレイ感だ。
少数派が分かったと思ったら、中央にあるコマをその人のところに置く。自分が少数派だと思ったら自分のところに置く。全員同じ答えだと思ったら中央に立てる。誰がいつ置いてもいいのでスリルがある。そして回答。当たっていればチップをもらえ、このチップが規定に達したら勝利する。
少数派は非常にマイナーなキャラクターが登場するので、自分だとすぐに分かる。そのときの多数派は、少数派とどこか共通点がある(林修と林冲など)ので、それをもとに多数派を推理する。その一方、自分の手番には自信たっぷりにトンチンカンでないヒントを出さなければならないのでスリリングである。
5人プレイで30分ほど。ヒントは内容だけでなく表情や言い方などのニュアンスもヒントになり、笑いも絶えない。最後の解答でもタネ明かしにまた盛り上がれる。上質な正体隠匿ゲームである。
りゅうほうのおしごと
北条投了/タレる/芸無工房(2017年)
4~6人用/30分