人参が余ってゴールできない!
ドイツ年間ゲーム大賞の第1回目の受賞作品。ボードゲーム大国ドイツの幕開けは、このイギリスからの輸入ゲームによって始まった。人参を食べてゴールを目指す、ダイスを使わない双六ゲームである。
2回のリメイクを経て現在も発売されていることから分かるように、その魅力はこれだけたくさんのボードゲームが発売されている現代でも色褪せていない。運と戦略のバランスが見事で、じっくり考えるところも、ハプニングに笑うところもある。
最初にいくつかの人参をもってスタート。自分の番になったら好きなだけ進むことができるが、1マスなら人参1、2マスなら人参3、3マスなら人参6、4マスなら人参10・・・10マスなら人参55というように消費する人参の量が増える。人参は、ハリネズミのマスまで戻れば戻ったマス数×10だけできる。
それからゴールまでに3枚のレタスサラダを食べていかなければならない。レタスサラダが食べられるマスは限られており、なかなか空かないもの。かといって終盤まで持ち越せばゴール前につまづくかもしれない。
というのも、ゴールするには人参を10以下まで消費しておかなければならず、レタスを食べると順位×10の人参が補充されてしまうからだ。前半はのどから手がでるほどほしかった人参が、終盤は始末に困るお荷物になる。
ウサギのマスではハプニングカードが引ける(リメイクのアバクス版はカードでなくダイスを使う)。ただ1回休みなんていうものから、レタスをなくせるものまでさまざまで、得するものの方が多いが、人参を減らしにかかる終盤はリスクが高いかもしれない。
このゲームの優れているところは、順位が下がるほど補充できる人参が増えることで、逆転しやすいことだ。先行逃げ切りは難しく、むしろ中盤まで後ろにいた方が有利なほど。出遅れてしまうと取り返しにくいという双六にありがちな欠点をいかに解消するかというのがドイツゲームのひとつの見どころとなっている。
私は今回、ひたすらウサギマスに止まるリスキーな手を使い、カードでレタスを2回も消費したが、人参を減らすことを考えていなかったため、ずるずる後退して最下位。終盤は詰め将棋の様相を呈し、人参の数によってどのくらい後ろからゴールに飛び込むかが変わる。前半のカオスと打って変わって、テクニカルなゲームだった。強い人は強い。
Hase und Igel
D.パーレット/ラベンスバーガー(1978年)
2〜6人用/12歳以上/45分