強気の資金繰りと積極的な投資
清涼飲料水会社のCEOとなって飲料を販売し、スポーツスタジアムに出資して知名度を競うマネージメントゲーム。ゲームマーケット2019秋にKONOMISTから発表された同人作品を、アソビションがキックスターターで製品化した。リスキーな資金調達と、資金も人員もカツカツのワーカープレイスメントがどちらも痺れさせてくれる。
毎ラウンド最初に、資金をいくら調達するかダイヤルでビッドする。資金は自販機型の箱にコインで入っており、ビッド額が少ない順に取っていく。最初にいくら入っているかはわかるが、前のラウンドからの持ち越し、市場カードによる追加、そして各プレイヤーの支払いによってどんどん変動していくので、「だいたいこれくらいありそう」ということしかわからない。
総額が正確にわかったところで、いくらもらえそうかは他プレイヤーのビッド額次第。多くビッドしすぎると、途中でお金がなくなってバーストしてしまい、収入が大幅に減るので何としても避けたい。でもみんなが安全策に走るなら自分だけ多くビッドしてももらえそう、でもみんながそう考えていたら・・・とのっけから悩ましい。
さてこうしてドキドキの資金調達が終わったら、ワーカーを配置して5つのアクションを行う。追加資金を調達する「株式の発行」以外、全てお金がかかる上に、前に入っていたプレイヤーがいるとさらに追加コストがかかるのでいつもカツカツだ。
「PR活動」ではトラックを上昇させ相対順位で得点につなげるが、ここでアクションをするには必ず1位にならなければいけないというルール。2位じゃだめなのである。だから誰かが大きく先行すると、それを追い抜くために一度にたくさん支払わなければならない。
得点が上がるにつれて、ラウンド終了時に累進課税の税金を支払わなければならない。「工場の改良」では、その税金を恒久的に減額できるが、1段階上げるだけで相当なお金がかかる。次ラウンドのワーカーを調達する「研修」にはほぼ全員が集まるため、後から行くと追加コストがかかり、有り金をはたいてもワーカーが少ししか確保できないということも。
しかし最もお金も人員がかかるのが「スタジアムへの出資」である。お金を払い、ワーカーをカードに置いて確保し、そのワーカーはもう返ってこない。これがメインの得点源であり、列ごとのエリアマジョリティなどもあるので序盤から疎かにできないのである。
全員パスしたらラウンド終了で、得点に応じた税金の支払い、発行した株式に応じた配当の支払いでさらにお金が飛んでいく。支払えないと得点が下がってしまうので、ここで払うお金を残してラウンドを終えられるよう、緻密な計算が求められる。
スタジアムが3段階でできるか、最高7ラウンドでゲーム終了。支払うものを払ってから、スタジアムの得点などが入って勝敗を競う。
今回、ドキドキの資金調達は最終ラウンドまで結構なお金が余るくらい余裕があったが、バーストはしたくないけれども1金でも多くほしいもの。徐々にみんなビッドを上乗せしてくるので、最終ラウンドにとうとうバーストが出たときの悲鳴。終盤ほどスタジアムに集中していき、残り1枠をめぐって繰り広げられる攻防もいい。
ビバレッジ
ゲームデザイン:二階堂このみ、イラスト:美浦悠人
アソビション(2023年)
3~5人用/12歳以上/90分