つがいで増やして
さまざまなかたちのタイルを敷き詰めて動物園を完成させるタイル配置ゲーム。『コテージガーデン(2016)』『インディアンサマー(2018)』『スプリングメドウ(2018)』というローゼンベルクのパズル三部作の後継的な作品で、「タイルの上に木駒を置く」という新しい要素が加えられている。
タイルは中央に並んでいて、手番にはゾウのコマを3歩まで移動して移動先のタイルを取るか、途中にある動物マスに指示された動物コマを取る。タイルはプレイヤーボードに配置し、動物はタイルの上に配置する。1枚のタイルが動物でいっぱいになると「アトラクション」というボーナスタイルが配置できる。プレイヤーボードを全て埋めたら勝利。やることはとても分かりやすい。
ゾウが何マスか進むごとに、特定の動物が繁殖する。タイル上に2匹以上その動物がいると1匹プラス。『アグリコラ』でおなじみの手法で、アトラクションを取るスピードを早める。「納屋」スペース(タイルに置けない動物を一旦置いて置ける)をうまく活用できればさらに効率が上がるだろう。
他人の動物園に干渉することはできないため、プレイヤーインタラクションは中央のタイル置き場でのみ発生する。次のプレイヤーが取りたいタイルや動物は比較的はっきりしているので、そのマスを飛ばすか、次のプレイヤーの手番には入れないように調整したいところだ。特に終盤は「これで上がり」という状況が発生するため、選択はかなり悩ましいものとなる。
序盤は場に7マスのタイルが多くあり、取られるにつれて6マス、5マスのタイルが出現するという仕掛けが面白い。マスが多いタイルは動物が揃うまで大変で、しかも形が複雑なためぴったり入りにくいが、動物園を早く埋めるには1マスでも多いほうがよい。マス数が少ないタイルは動物が揃いやすいが、後半にならないと入手できない。「パズル三部作」では最高で6マスで、それでも扱いづらかったが、7マスのタイルの置きにくさは想像以上である。
3人プレイで40分ほど。3人用ボードは少し広いが、繁殖ボーナスがあってアトラクションが手に入りやすくなっている。動物がどんどん増えて嬉しい(揃うと「出荷!」とか言っていたがここは動物園?)。終盤は各自「このタイルが取れれば勝ち」という状況になったところで、ぴったり合う5マスのタイルが手に入って勝利。
「パズル三部作」ではプレイヤーボードを埋めたら勝ちの『インディアンサマー』に近いプレイ感だが、木駒がプレイヤーボード上に増えていくのが見た目にも楽しく、成長する実感も湧いて華やかである。
New York Zoo
ゲームデザイン・U.ローゼンベルク、イラスト・F.ヴェルムケ
フォイヤーラントシュピーレ+テンデイズゲームズ(2020年)
1~5人用、10歳以上、30~60分