迷走してもどの島に寄るか
真っ直ぐには進めない船で島を巡り、建物を作りつつ向こう側を目指すボードゲーム。ゲームマーケット2020大阪で発表される予定だった作品で、関西のボードゲームカフェとプレイスペース付きショップ9店舗による「ボードゲームセレクション2020」で大賞に選ばれた。
各自、自分の船をゲームボードの四辺からスタートさせる。自分の手番には、3枚の手札から1枚を出して船を移動させ、移動先の島で食料やカードなどを得た後、島に船員コマを置く。船員コマを置いた島はレンガ・鉄・石の資源が得られることになり、何手番か使って集めた資源で建設も行える。
3枚の手札は前進がないだけでなく、同じカードが固まることもあって船は思いっきり迷走する。中央には得点チップがあるが、なかなかたどり着くことができないばかりでなく、たどり着いたとしてもほかのプレイヤーの船に囲まれ、脱出が難しい。しかもその中で、場札の建設カードに指示された資源をほかのプレイヤーより先に揃えなくてはならない。食料が不足すると船員が死ぬので、食料の調達も疎かにできない。
誰かがスタート地点の向かい側に到達するか、規定点に達したらゲーム終了。建設したカードの点数、種類によるボーナス、金塊や中央のタイル、到達したゴール地点の点数を加えて勝利点を競う。要素たっぷりで、どこに特化するかを手札と相談することになる。ほかのプレイヤーと狙いがかぶると得点が下がるが、手札のコントロールしにくさによって選択がライトになっている。
4人プレイで45分ほど。中央付近で渋滞が起こり、空き待ちで膠着状態になったところを、bashiさんが遠回りしてゴール。遠回りする内に集めた資源も上手に使って建設の得点も積み増した。手札運は大きいが、だんだんできることが増えていく拡大の方向ではなく、いろいろな得点方法が用意されている多様化の方向によって、僅差で勝敗が最後まで分からないゲームである。
海拓者
ゲームデザイン&アートワーク・コヤマタダシ(2020年)
2~4人用/10歳以上/30~45分