(ドイツニュースサイトswp.deより”Brettspiele: Wo bleiben die Frauen bei den Brettspielen?“の翻訳)
ファビアン・ツィーエ(ウルム)、2019年4月27日
ボードゲームシーンは男性によって形成されていると感じられる。出版社の社長、デザイナー、大賞の審査員、ブロガー、評論家……どうしてそうなのか、インサイダーである女性たちに尋ねた。
1.キャロル・ラップ(39)、アスモデ・グループのボードゲームマーケティングディレクター
「ボードゲームはその起源からして、男性的な特徴をより多くもっています。しかしここに矛盾があります。ボードゲームはクリエイティブな領域に属するからです。実際、現実も異なります。ボードゲームの約60〜70%が女性によって購入されると私たちは見ています。女性は、家族のテーブルに乗るもの、クリスマスツリーの下に置かれるものを選びます。対照的に、男性は家族のために購入することはめったになく、むしろ自分のために購入します。ほかの全ての出版社と同様、私たちもずっと前からそれを知っていて、女性が選びそうなものにプログラムを集中しています。『デクリプト』のようなコミュニケーションゲームや『パンデミック・レガシー』のような協力ゲームが今、急成長しているのは当然のことです。出版の観点からだけでなく、私が素晴らしいことだと思うのは、私見ながらボードゲームが女性に対し、社交的で自由に振る舞うよう奨励することです。ボードゲームを遊ぶ人は、成長し、強くなるのです。」
2.ズザンヌ・ヒルシェ(48)、長年のボードゲーム愛好家
「女性が求めれば、ボードゲームはそれほど難しいものではないでしょう。業界に性差別主義はありません。それにボードゲーム部門は、玩具業界全体よりも、男の子と女の子を区別することがはるかに少ないです。でも障害もあります。実際、ボードゲームが女性のものではないと見なされているグループがあります。自分でそう思いこんでいる人が多いのです。業界の一部では、「良いボードゲーム」とは「難しいボードゲーム」のことであるという観念を不必要に維持しています。また、人付き合いや社会的スキルが足りないオタクタイプの男性がいて、残念ながら、女性を怖がらせることもあります。」
3.マルティナ・フクス(41)、終日制学校の校長でポッドキャスト「Fux und Bär」ブロガー
「女性は全く苦労してなくて、気付いていないだけです。確かにブログを書いたり、表立ってボードゲームについて語っているのはたいてい男性です。しかし実際には、テーブルでは多くの女性が遊んでいるのが見られます。女性はこの趣味で、傾向として男性よりも社交的で、競争的でないものを好むかもしれません。でもそれは教育の問題もあるかもしれません。学校や青少年文化センターで、私の教え子の女の子たちは違うボードゲームを学んでいます。そして、複雑なボードゲームでもゾンビやエイリアンのようなテーマでも敬遠する子はいません。」
4.ユリア・ツェルリク(31)、ドイツ年間ゲーム大賞審査員
「数学やパズルが好きな私が、ボードゲームシーンで苦労したことは一度もありません。でも、ほかの女性はそこまで熱意をもっていないかもしれません。たぶん彼女たちは実際、生活の中で別のものに注目しているか、あるいは男性と違って、日常生活からの脱出を全く求めていないのかもしれません。その一方で、女性はどんどんこの趣味に進出しています。それは、単に好きだからです。普及活動もいりませんし、強制的に遊ばせる必要もありません。」
5.インガ・コイトマン(34)、フォイヤーラントシュピーレの編集者
「男性と女性の関心は少し違うと思います。しかし、出版社や編集部では、男性か女性かは全く関係ありません。ゲームイベントやフェアの男女比はとうに6:4ぐらいになっています。確かに『ウィングスパン』のように女性だけで開発し、イラストを描き、ルールを翻訳したボードゲームは、業界からそのことが強調されがちです。こういったことがまだ強調されているのは残念です。」