悪役から見た物語
グリム童話『ヘンゼルとグレーテル』は、日本でもよく知られた物語である。悪役の魔女はお菓子の家で子供たちをおびき寄せ、殺して食べてしまう。その魔女の立場になって見たのがこのゲーム。ヘンゼルとグレーテルだけでなく、白雪姫、ドラゴン、ハンプティーダンプティーたちが、お菓子をつまみぐいしに来るのを捕まえよう。『クマ牧場』(2017年)に続くP.ウォーカー=ハーディング&ルックアウトゲームズの作品。
タイルを組み合わせて配置するパズルチックなゲームだが、今回は上に重ねてお菓子の家を高くしていく。タイルを置いたとき、下になったマークのお菓子がもらえ、そのお菓子を集めて、通りかかったキャラクターを捕まえると得点になる。
手番には自分の前に並んだ3枚のタイルのうち1枚を選んで、自分の家に置き、お菓子を手に入れる。場には4枚のキャラクターが並んでおり、それぞれ好物のお菓子の種類と数が違うので、対応するお菓子を集めて支払うことで、そのキャラクターを捕まえられる。
キャラクターを捕まえると、最後に得点になるだけでなく、ジョーカータイルをもらえ、それを家に配置することができる。この上にまたタイルを置けば、好きなお菓子が手に入る。少ないお菓子で捕まえられるキャラクターでこまめにジョーカータイルを置くか、たくさんのお菓子が必要なキャラクターで高得点を狙うかは状況次第だ。
その方針となるのがボーナスカード。1階層9マスを埋めるたびに、中央から選んで取ることができる。ボーナスカードは、即時効果でお菓子がもらえるものから、特定の種類のキャラクター(人間/人間以外、元気/機嫌が悪い)を捕まえるとボーナスが入るものまでさまざま。ゲーム中3枚まで獲得できるので、ボーナスカードに沿ってキャラクターを集めつつ、終盤は集めたキャラクターで得点が一番高いボーナスカードを選ぶ。
魔女の家には、お菓子やジョーカータイルのほかにも、1マスだけ埋められる階段、お菓子を交換できる矢印のマス、捕まえるキャラクターを予約できる牢屋もあるので、どうすれば効率よく、ほかのプレイヤーより先にキャラクターを取れるかはさまざまな道筋がある。特に、同じマーク2つの上にタイルを置くと、もらえるものが2つではなく3つになるというボーナスがあるので、うまく活かしたい。
4人プレイで45分ほど。狙っていたキャラクターを先に取られて悔しいという場面も多かったが、たまたま持っていたお菓子に合致するキャラクターが山札から出てきたという棚ぼたもあり、プレイ感はゆるやかだ。とはいえ最後に勝ったのは、ボーナスカードに沿ってチャンスをものにしたbashiさん。ときには、捕まえられるキャラクターをスルーして、自分の得点が高くなるキャラクターを優先するという選択も必要なようだ。
ジンジャーブレッドハウス
ゲームデザイン・P.ウォーカー=ハーディング/イラスト・A.エルカートン
ルックアウトゲームズ(2018年)
2~4人用/8歳以上/30~45分