公益財団法人さわやか福祉財団 というところで制作された「新・助け合い体験ゲーム」をニュース記事(神戸新聞:雪かき、ごみ出し…ご近所さんの困り事「カードゲーム」で発見 )で知り、取り寄せて地域づくりのワークショップで使ってみた。
このゲームには「ゴミ出し」「洗濯」「薬の受け取り」など60種類のサービスが書かれたカードと、「活動団体でのリーダー」「地域の情報交換会の立ち上げ」「活動単体でのパソコン・IT担当」などと書かれたサービスメニューカードなどが入っている。ルールはグループに分かれ、テーブルにサービスカードを並べて1人3枚ずつ取り、グループ全員に「誰かこれをしてくれませんか」と交渉をして、(仮想上)してもよい人を見つけて渡すというものだったが、少々変更して、場から好きなカードを取って、グループ内の誰かに頼み、引き受けてくれる人がいたら伏せて、一番多く伏せられたチームを勝利とした。
山形の冬では重要な「除雪」は、どのチームも早めに伏せることができた。大きな除雪機を持っている人がいれば、その人に頼むということは十分ありえる。「子どもの一時預かり」「一緒に勉強する」などの子育て関係も何とか引き受けてくれる人がいたが、他人の家庭に入り込むことになるほど難しい。特にどのチームも最後まで残ったのは「食事介助」「認知症者への見守り」など介護関係で、ここは公共サービスに頼るしかないという現状が浮かび上がってきた。
参加者は、実際に頼むという行為を通して、人口が減少し高齢化が進む将来をシミュレーションし、「共助」の意義が確認できたようだ。一回では引き受けてもらえないことも、ほかの人に頼んだり、同じ人にもう一度頼み込んだりと交渉の余地もあって、会話も盛り上がった。
ワークショップは講演よりも参加者が積極的に参加できるということで、この頃地域の集まりなどで多く導入されているが、ブレインストーミングが高じてどうしても現実離れした話になりやすい。そういった中で、より現実的・実際的なものになったと思う。
『新・助け合い体験ゲーム』の配布は終了しているようだが、各家庭で自助では対応しきれない項目をいくつか書いて、名刺カードに印刷すれば、上記のようなルールで活用できるだろう。