横濱紳商伝(Yokohama)

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横濱紳商伝
手下を従えて明治期の横浜の街を駆け巡り、名声を上げるボードゲーム。OKAZU Brandがゲームマーケット2016春に発表した新作で、ゲームマーケットではまだまだ数少ないゲーマーズゲームである。OKAZU Brandとしては昨年の『ミネルウァ』(TGiWレビュー)に続く作品で、海外の愛好者からの期待も高い。
銅鉱山、製糸場、茶畑、漁場、銀行、港、研究所、斡旋所、中華街、教会、税関。これらのエリアタイルがランダムに並べられ、横浜の街を形成している。プレイヤーはそれぞれのエリアを訪れ、交易品を集め、勝利点にしていく。ピック&セットコレクション&デリバリーがこのゲームのメインだ。
手番にはまず、部下コマを好きなエリアに置く。これは後からそのエリアでアクションをするときに「パワー」となる。パワーが多いほど、1回のアクションでもらえるものも増えるので、部下コマを貯めこんでからそのエリアに向かいたい。しかし早い者勝ちのエリアでは、のんびり貯めこんでもいられない。アクションの順序や優先度を考えて、エリアを選ぶのは悩ましい。
部下コマを置いたら、社長コマの移動。社長コマは隣接するエリアを通って、アクションをしたいエリアに向かう。このとき、自分の部下コマがあるエリアしか通れず、ほかの社長コマがいれば通行料を支払わなければならない。この移動の制限のため、アクションの順序を変えることもある。
社長コマがエリアにたどり着いたらアクション。銅鉱山では銅チップ、銀行ではお金、港では注文カード、研究所では技術カード……というように、エリアに応じたものを獲得できるが、いくつ獲得できるか、どれくらいよいものを獲得できるかは部下コマなどのパワーによって決まる。アクションが終わったら部下コマは手元に戻り、また次の手番から配置できるようになる。
ほかにもさまざまな要素があるが、基本は以上のように、①部下コマを置き、②社長コマを移動し、③アクションを行うという3ステップである。そのうちに、注文カードに指示された交易品を揃えて支払ったり、全員共通の目標を達成したり、教会や税関で交易品などを支払ったりすることで勝利点が入る。誰かが自分の商館や店舗を全て建設するか、カードがなくなるか、教会や税関に一定数のコマが置かれるとゲーム終了。各種ボーナスを加えて勝利点の多いプレイヤーが勝つ。
4人プレイで2時間。後手番で後れを取りそうだったので、最初に大枚をはたいて技術カード「路面電車」を入手する。これで社長コマがワープできる特殊能力が得られ、移動の制限なく好きなアクションを選べるようになった。技術カードをさらに増やしつつ、限られたエリアに部下コマを投入し、パワーの強いアクションを行い、報酬で得られる「舶来品」を集め、税関に納めて高得点を取るという作戦。交易品集めに特化したbashiさんが注文カードをどんどん達成し、教会で得点を増やしたものの1点差で逃げ切った。
移動の制限があるものの、中盤まではアクションの選択肢も自由度も高く、どこから手を付けたらいいか見えにくい。明らかな失敗がない代わりに、どれが勝利のために有効なのかも分からない中、次第に方向性を絞りこんでいくのが考えどころだ。終盤には、ゲーム中に方向性をきちんと見定められたか試されるときがやって来る。見た目の豪華さに違わず、遊びごたえたっぷりの作品。
横濱紳商伝
林尚志/OKAZU Brand(2016年)
2~4人用/12歳以上/90分

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