深まる先入観
ヒントカードにチップを置いて、お題を当ててもらうコミュニケーションゲーム。本格的なゲーマーズゲームと、奥の深いカードゲームを出しているOKAZU Brandの新作で、『Good Price!』『擬人化総選挙』以来5年ぶりのコミュニケーションゲームとなる。直感的で遊びやすく、それでいてディスコミュニケーションの妙を味わえる作品だ。
1~10番のお題カードが並べられ、各自1~10のカードを引く。自分が引いた番号のお題が今回の担当だ。自分のお題を当ててもらえるよう、ヒントカードに3枚のチップを置いていく。例えばお題が「クギ」だったら「短い」、「DVD」だったら「丸い」というように。
なかなかピッタリのヒントがない場合もある。その上、ほかのプレイヤーがチップを置いたヒントには、チップ2枚を使わなければならない。少ないヒントで的確さを狙うか、多いヒントで何となく分かってもらうか。
全員チップを置けなくなったら、ほかのプレイヤーがどのお題か、手持ちのタイルを並べて当てる。全員タイルを置いたら答え合わせ。見事当てた人にも、当ててもらった人にも得点が入る。4ラウンドで総合得点の多い人が勝ち。
私のお題は「コイン」。「丸い」に置こうと思っていたらbashiさん(お題は「DVD」)に先に置かれてしまったので、2枚置くことになる。3枚目のお題は「便利」にしたところ、見事全員に正解してもらった。鴉さんのお題「お正月」は「周期的」「甘い」「おろか」。「周期的」からお題は「心臓」だと思い込んでしまい、「甘い」はハートの甘さ、「おろか」は鼓動の様子かなと勝手な解釈をしてしまう。tomokさんのお題は「芝生」で「人口」にも「自然」にも置けなかったというのが笑った。
ヒントが曖昧なので、ある程度は踏み込んだ解釈をしなければならないが、踏み込みすぎると先入観が修正できずに間違うというコミュニケーションゲームの醍醐味が味わえる作品。選択肢が限られている分テンポがよく、答え合わせの後にそのヒントの心をめぐって会話が盛り上がる。ゲーマーなら、どのヒントに置かなかったか、ヒントを決めるまでどれくらい迷ったか、ほかの人がヒントを置いたときにどんなリアクションをしたかといったメタ情報もヒントにできるだろう……かえって混乱を深めるだけかもしれないが。
ワードポーターズ
デザイン・林尚志/グラフィック・ryo@ にゃも/OKAZU Brand(2016年)
3~6人用/6歳以上/20分