全部別々のボード、しかも木製
R.クニツィアの幻のゲームアンソロジー。『古代ローマの新しいゲーム』(1994年)と同じ年に発売されたが、木製のケースに木製のボード、さらにワインまで入っている豪華仕様で、限定100セットしか作られていない。テーマはドイツ兵で、木製ボードのデザインに反映されている。
2人ゲームを除いて3人で4ゲームをプレイ。
『シャンツェン』はダイスで自分のコマを進めるレースゲーム。8個のダイスを振り、1つの出目を選んでそのダイスを確保。残りを振って、また別の目を選んでそのダイスを確保していく。そのうちすでに選んだ出目しか出なかったらバーストで進めない。
バーストする前に振らずにやめることができ、その時点で確保してあったダイスの合計から20を引いた分だけ進める。先にゴールに着いた人の勝ち。
ダイスは全て確保しなくてもよく、例えば6だったら全部確保したいところだが、6があまり出なければ、1を1個だけ取り除いて次にかける手もある。最終的にはダイス運だが、「とりあえず4をとってみる戦法」などいろいろな選択肢が考えられて面白かった。
『蹄鉄ゲーム』は陣取りゲーム。各自1から12の番号が振られたコマを混ぜて、1つをめくり、好きな蹄鉄の上に置いていく。ほかの人のコマがある蹄鉄は、その数字以上なら上に重ね、その数字未満ならその下に入れる。
こうして全員が全ての蹄鉄に置いたらゲーム終了で、各蹄鉄に一番数字の大きいコマを置いていた人(最後にコマが上にあった人)にその蹄鉄の得点が入り、合計を競う。
何番のコマを引くかは分からないが、数字の大きいコマは得点の高い蹄鉄に置きたい。しかし欲張りすぎるとほかの人に取られてしまうかもしれない。カウンティングも相まって、どの蹄鉄に置くかが非常に悩ましいゲームだった。
『飲食競争』は売買ゲーム。ハム、チーズ、パン、ワインという4つの品物の価値が毎ラウンドダイスで変わるので、安いうちに仕入れ高くなったら売る。こうして手持ちの分を最初に2倍にしたら勝つ。
ただしお金はなくて物々交換。チーズの価値が4で、パンの価値が2、ワインの価値が1だったら、チーズを出してパンとワインを手に入れられるが、お釣りは出ない。1回で交換できるのはそれぞれ1個ずつなので、大儲けはできずコツコツと増やしていかなければならない。
交換方法に思ったよりバリエーションがないものの、途中で賭けに出て一気に増やすか、あるいは品物を減らすかという場面があり、そこでの成否が勝敗を分けた。
『王宮にて』は、豆を握って自分のコマを進めるゲーム。豆は0~9の範囲内で握った数だけ進めるのが基本だが、ラウンドごとにカードがめくられ、制限がかかる。
カードには、欲張りすぎると進めないというジレンマが仕込まれている。「一番高い数を出したら戻る」「一番低い数+2より大きい数を出したら戻る」「全員の数の合計が8より大きければ全員戻る」など。ほかの人を陥れたり、出し抜いたりする読み合いが楽しい。
ゴールである「王座」に最初にたどり着くか、12ラウンドで最も先に進んだ人の勝ち。
このほかに2人ゲームとして『コントラ』と『ギルドの石』というゲームが入っている。いずれも数字の弱いコマを取り合うゲームで、先の先を読まなければならない。どのゲームもシンプルながらクニツィア節全開で、「クニツィアめ~」(うぅ、懐かしいフレーズ)と言いながら楽しめる。
Allerley Spielerey
R.クニツィア/プロ・リグノ(1994年)
2人用・15分(コントラ)、1-4人用・20-30分(シャンツェン)、2-4人用・15分(蹄鉄ゲーム)、2-4人用・10-20分(飲食競争)、2人用・10分(ギルドの石)、3-7人用・20-30分(王宮にて)