陸地は目の前、でもアクションが…
スペイン国王の命令でカリブ海から南米を探検したイタリア人、アメリゴ・ヴェスプッチ(1454-1512)の足跡をたどって、群島を探検し入植していくドイツのボードゲーム。小さい島にさっさと建設するか、大きい島にじっくり建設していくかの選択が難しい。
船の移動、大砲の積み込み、計画、発展、建設、産物タイルの購入、特別アクションと7つのアクションがあるが、選択は特製ダイスタワーによって決められる。キューブをダイスタワーの上からざざーっと入れて、出てきた色のアクションだけを、(最も多く)出てきた個数だけ行動できる仕組みだ。特製ダイスタワーは途中にひっかかるところがあり、上から入れたものが全部出てくるとは限らないし、前に入れたものが出てくることもある。ここに運の要素があり、カウンティングによってある程度先が読めるようにもなっている。
基本的な流れは、「船の移動」で島の間を奥に進み、島に交易所を置く。「計画」で地形タイルを入手し、「建設」で交易所のある島にその地形タイルを配置して得点。さらに島の全部のマスが埋まると、交易所を置いているプレイヤーにボーナスが入る。また、「建設」で砂糖や綿などの資源が入ることがあり、これを集めるとゲーム終了時に得点になる。フェルトにしては、得点パターンは少ない。
その中でも勝敗を分けるのは、島が埋まったときのボーナスだ。これはラウンドと交易所の数によって異なり、序盤であればあるほど、交易所の数が多ければ多いほどボーナスが増える。そのため交易所が少ない小さい島でも集中的に建設して序盤に埋められれば、高得点が可能だ。逆に終盤は、交易所が結構あっても微々たる点数しか入らない。「新世界の発見」は、遅くてはインパクトが薄れるのである。
そのため1人2隻もっている船でどの島を狙うかが重要となる。序盤は、周辺にある小さい島を自分だけで建設してしまうのが効率がよい。それがなくなると、大きい島をコツコツ建設するか、ほかの人が建設している島に相乗りするかの選択となる。ゲーム終了まで全てのマスが埋まらないこともあるので、のんびりしてはいられない。
1色のキューブを入れて手番を行い、次の色のキューブを入れて手番を行い・・・というのを繰り返して、7色全部のキューブを入れ終わったらラウンド終了となる。ここで海賊との戦い。ラウンド中に積み込んだ大砲が、このラウンドの海賊の強さを下回った場合、得点を奪われてしまう。海賊の強さはラウンドの最初に分かっているので、周到に用意するか、あるいは諦めてほかのアクションに注力する。『ドラゴンイヤー』などで用いられたフェルトらしい仕組みである。
そのほか、特殊能力を得られる「発展」、スタートプレイヤーを取るだけでなく、困ったときにいろいろなアクションができる「特別アクション」があり、ゲームの戦略に幅をもたせている。5ラウンド終了後、産物タイルなどの決算を行い、合計の多い人が勝ち。
3人プレイで90分ほど。序盤から中ぐらいの島を狙って行ったので、発見や建設のボーナスがあまり入らず、代わって資源と産物を集める作戦。その分建設が手薄になったが、ほかの人がコツコツ建設した島に最後にちょっとだけ相乗りするといった方法で取り返して1位。海賊対策はhataさんが「ほかの全員は海賊+2」を取ったため途中から放棄したが、数字の大きな海賊があまり出なかったので被害も少なかった。
未発見の島だらけの序盤には、得点が大味に入ってくるのに対して、あらかた発見され尽くされ建設場所も少ない終盤はちょっとしか得点が入らない。代わって資源の得点が相対的に上がってくることになる。このあたりの得点の潮目をうまく読めるかがポイントのようだ。未開の奥地に誰よりも先に進んでいくのは探検家の気持ちが味わえる。
Amerigo
S.フェルト/クイーンゲームズ(2013年)
2~4人用/10歳以上/90分