もうひとつ上を狙うべきか
みんなで出したカードを、サイコロの目の強さで取り合うダイスゲーム。寡作のデザイナー、S.ドラ(ドイツ)がシュピール’13でホワイトゴブリンゲームズ(オランダ)から発売したものである。シンプルで骨太な作りに、ドイツゲームの安定感を感じさせる。
毎ラウンド、全員が1枚ずつカードを出して、この場の得点を決める。高得点のカードもあれば、マイナス点もある。この後サイコロを振って役を作り、その高い順に好きなカードを取っていくので、みんなが出すカードによってこのラウンドにどれくらい頑張ったらよいかが決まる。
その後いよいよ5つのサイコロを順番に振る。2回まで振り直すことができ、できるだけ高い役を狙う。役はワンペア、ツーペア、スリーカード、フルハウス、フォーカード、ファイブカードがあり、同じ役ならば数字が大きいほうが強いというポーカー方式。役の状況は中央のボードにマーカーを置いて示す。
運だけではない。各自アクションキューブをもっており、出目が気に入らなければ投入して振り直すか、出目を変えることができる。出目を変える場合、キューブ1個で1つ増やすか1つ減らすかなので、どの目でも対応できる3か4あたりで役作りをするのが賢明だ。キューブは限りがあり、最後まで残しておけば得点になるので、無駄遣いはできない。このラウンドは諦めるか、それともキューブを使ってより高い役を狙うか悩むところだ。
さらにボーナスタイルが毎ラウンド登場し、決まった目で一番役の高い人がもらえる。これでマイナス点カードを全て捨てたり、得点にしたり、アクションキューブを補充したりできるので、カードを諦めてもこちらを狙ってもよい。
手札は9枚で、9ラウンドで全部使い切るとゲーム終了。獲得したカード・タイル・残ったキューブの得失点を合計して、最も多い人が勝ち。
5人プレイで30分。マイナス点ばかりのラウンドや、高得点が出たラウンドはサイコロを振る手にも力が入る。失点カードを大量に受け取ってしまった人は、それを捨てられるボーナスタイルが生命線だ。そんな思惑が絡み合って、アクションキューブが投入されるのも熱い。キューブを使ってキューブのボーナスタイルを手に入れるという循環で高い役を作りつつキューブを温存し、ここぞという場面で投入できた私の勝利。carlさんはゲーム中唯一ファイブカードを達成したが、残念ながら得点が高くない場だった。
ドラの作品コンプリートを目指すほどドラ好きの私だが、多少安定感に欠けるホワイトゴブリン社でもやっぱり面白い。カードにテキストがびっしり書いてあるような作品が流行する中で、ブレのない模範的なドイツゲームである。
Pasha
S.ドラ/ホワイトゴブリンゲームズ(2013年)
2~5人用/8歳以上/30分
国内未発売