一夜だけの疑心暗鬼
人狼ブームとはいえ、人を集めてゲームマスターをたてるというのは容易ではない。また、「ゲーム中にどんな会話をしたらよいか分からない」という声も聞かれ、敷居は高いようである。人数が増えると時間がかかるという難点もある。
こういった人狼の弱点をカバーした人狼系の作品が次々と発売されている。その嚆矢となったのが、昨年秋のゲームマーケットで発売された『ワンナイト人狼』である。3人から遊べ、ゲームマスター不要、プレイ時間は10分。それでいて、人狼の醍醐味を味わうことができる。人気が人気を呼び、すごろくやゲーム大賞を受賞。ゲームマーケット後も再版されているが、すぐに品切れとなり、需要に追いついていない様子だ。
人数が少なくても遊べる理由は3つある。第一に、参加者より多い役職カードを使い、どの役職が何人いるか(またはいないか)が分からないこと。各自、場から役職カードを取ると、場に2枚(7人プレイでは1枚)カードが余る。3人で遊ぶ場合、人狼は3人のうち2人いることもあれば、1人もいないことだってある。場に残ったカードは、占い師が見ることができる。
第二に、夜に犠牲者が出ないこと。人狼はお互いをアイコンタクトで確認するだけ。そして次の昼に、議論の上で処刑する1人を決める。その1人が人狼なら人間の勝利、人間なら人狼の勝利となる。
第三に、ここがこのゲームの最大の特徴だが、「怪盗」という役職(村人側)が場をかき混ぜること。夜の最後に、「怪盗」のプレイヤーは自分のカードをほかの人のカードと交換できる。交換された方は、そのことを知らないまま昼の議論に参加することになる。「彼、人狼だったけど、もしかして村人になった?」この可能性が、人狼同士を混乱させ、一方的な展開にさせない。
1ゲームが短いので、連続して何回も遊べる。役職の構成が毎回変わるので、遊ぶたびに違った展開が楽しめた。
ワンナイト人狼
akidelic作/ワンナイト人狼(2012)
3~7人用/10歳以上/10分
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