嗅覚を鍛える
12種類ある香水をかぎ分け、匂いを記憶するという尋常でないボードゲーム。20年前の作品で、ドイツゲーム賞8位に入賞している。説明書には「経年により香りが飛ぶことがある」と書かれていたが、保存状態がよかったおかげで濃厚な香りを楽しむことができた。
カフェの踊り子ファティマは、毎晩違う香水をつけてきて、その香水をかぎ分けられる王子を夫に選ぶという。街のあちこちで香水を探し、宮殿に行って昨晩の香水がどれだったか当ててこなければならない。3本先取。
まずカフェに黒い香水瓶が置かれ、その匂いを全員でかぐ。この時点でもう異常な雰囲気。手番になったら、ダイスを振り、王子コマを移動する。どこかの家に着いたら金の香水瓶を開けて匂いをチェック。うーん、同じような違うような……
あちこち回って、これだ!というのが見つかったら宮殿に向かう。ちょうどの数でないと入れないので手間取ることも。無事、宮殿に着いたら、探している香水の在り処を言う。黒の香水瓶と比べて、同じならゲット。違っていたらカフェに戻って1回休みとなる。
匂いを覚え、嗅ぎ分ける―そんな経験は普通しない。香水のにおいをいくつもかいでいるうち、もとの匂いがどんなのだったか分からなくなってくる。そこで「甘い」「気持ち悪い」「和風」などと形容してラベリングしてみた。慢性の鼻炎だという鴉さんはそれすら諦め、直感だより。そんな中で、くさのまさんが天性の嗅覚を発揮して連続正解。
そこで今度は、くさのまさんの動きに注目してみた。香水を嗅いでいるときの顔色を伺い、これだという顔をしたら先回りするという姑息な作戦。ガン見されたくさのまさんだったが、プレッシャーをはねのけて3本目を取り勝利。私は、お気に入りの「バラ」を当てるのが精一杯だった。
はじめは嗅ぎ分けができなくて途方に暮れるほどだったが、何回も嗅いでいるうちに不思議とその香り独特のイメージが湧くようになってきた。嗅覚が磨かれるというのもなかなか気持ちがよいものである。何の役に立つか分からないが。
Duftende Spuren
C.ハイドーン、J.ハイドーン/ハイドーンス
2〜5人用/10歳以上/75分
絶版・入手難