ポルトガルの宝石
ポルトガルでポートワインを製造して売るボードゲーム。同じくポルトガルワインを造るゲームとして『ヴィニョス』があったが、こちらはポルトガルのメーカーが手がけている。ポルトガルのゲームはほとんど未知の世界だったが、ワーカープレイスメントを柱にじっくり作り込まれたシステマチックなゲームである。
舞台はアルト・ドウロ・ワイン生産地域。ローマ帝国時代からブドウの段々畑が作られ、ポートワインの生産地として世界的に有名である。世界遺産にも登録された絶景の地だ。
ワインを売るまでの道筋は長い。土地を購入し、ブドウを植え、ブランデーを生産してから、ワインを製造する。製造したワインは船で港まで運び、倉庫で熟成させてようやく販売となる。これらを、ワーカープレイスメントで同時進行する。
手番には、自分のアクションチップを好きなアクションに置いて実行するが、前にそのアクションを実行した人がいると必要なチップ枚数が増えたり、定員に達するともう実行できなくなったりする。数少ないアクションチップをどの順番で置き、どのアクションを選択していくか悩ましい。
アクション選択では、毎回強力なカードが4枚だけ登場するのがこのゲームの特徴その1。安いワインをビンテージとして売ったり、船を一度に移動したりできる。スタートプレイヤーを取ったら、まずはカードを取りたいところだが、タイミングが合わないと使い物にならないカードもあるので要注意。このカードのおかげで、地道な製造が突如ダイナミックになるのが面白い。
港の倉庫で熟成させるとき、ダイスを振って品質を向上できるのがこのゲームの特徴その2。ワインの値段は、土地、ブドウの種類、天候によるもともとの品質がものをいうが、ダイスでもう1段階値段を上げることができたときは嬉しい。地道な製造の最後に、こんな仕掛けを用意しているとはニクい。
早めに畑を広げる戦略をとった私とkarokuさんに対して、ふうかさんはまず既存の畑にブドウを植えて品質を高める作戦。私はさらに、さっさと製造・出荷して安くてもどんどん売ることにしたが、karokuさんは溜め込んでから出荷する方向へと分かれた。私は出荷してまたゼロから始めるという非効率さで最下位。最後にカードを余らせてしまったふうかさんが2位で、1位は同時進行で効率的な販売を進めたkarokuさん。
ワーカープレイスメントをベースにしたシステマチックな作りと、カードとダイスというダイナミックな要素がうまくマッチして、新味のあるストラテジーゲームとなっている。コンポーネントのデザインも美しい。
Vintage
G.ドーリー(Gil d’Orey)/メサボードゲームズ(MESAboardgames, 2011)
2〜4人用/10歳以上/90分
・テンデイズゲームズ:ヴィンテージ
・ふうかのボードゲーム日記: ヴィンテージ