収穫のタイミングに苦慮
フランスのワイン名産地で、ブドウの木を植え、収穫・熟成させてワインを販売するボードゲーム。創立15周年を迎えたエッガートシュピーレの新作で、追加タイルを加えた木箱入りの記念版も発売された。
まずゲームは借金から始まる。最初の資金は全て借金で、誰かが返し終えたらゲーム終了という、ワレスの作品を思わせるシビアな設定。借金額は自由に設定できるが、多ければ多いほど利子も高いので借り過ぎに注意しなければならない。足りなければ後からでも借金できるので、最低のお金から始めよう。
ラウンドの最初に、ブドウ畑タイルと改良タイルが場に並ぶ。好きなものを取り、値をつけて、1周の間誰も値を上げなければマイボードへ(値を上げればもう1周)。ブドウ畑タイルには毎年ワインマーカーが置かれ、改良タイルは毎年1回、特殊効果を使える。年を重ねるごとにタイルが累積して、ワインの収穫量も特殊効果も増えていくから楽しい。
ワインマーカーは1個ずつ収穫して、マイボードのワイン樽へ。誰かが自分のワインマーカーを全部収穫するとラウンドが終わるので、新しいチップを競ったり、ワインの価格を上げたりしていると、収穫が間に合わないことも。ほかの人がいくつ収穫し残しているか、よく見ておかなければならない。
収穫の合間に、ワイン樽から前に収穫したワインを売って収入を得るという仕事もある。ワインは品種によって必要な熟成年数が定められており、早く出来上がる品種ほど安く、高い品種ほど年数がかかる。ちなみに一番安いのはガメ。あのボジョレー・ヌーボーの原料だという。最初の数年はワインの熟成のため収入がほとんどないだけに、まとまったお金が入ると嬉しい。
ラウンドが終わると、次はワイン祭である。この年に販売したワインが多い人に、品種別に名声ポイントが与えられる。これを使って、収穫し残したワインを収穫したり、ワインの価格を上げたり、品種を変えたりできる。お祭りが終われば、利子を払って、借金を返済したり追加したりして次のラウンドへ。
借金を完済した人が出た時点でゲームが終わる。しかし完済したからといってゲームに勝てるとは限らない。ブドウ畑のタイルやワイン樽に残っているワインマーカーを資産として加え、資産の多い人が勝つ。
神尾さんが最安のガメと最高のピノ・ノワールを栽培。しかしガメはほとんど収入にならず、じっと待つ日々を余儀なくされる。私はピノ・ノワールの次に高いシャベルネに特化する作戦で、途中から一気にお金が入ってきた。2人とも来年が待ち遠しくているところに、中間品種のメルローを、豊作の改良チップで増やしたぽちょむきんすたーさんががんがん収穫して先手を取り続け、一気に借金を返して終了。そのまま1位となった。
収穫が終わったらラウンドが終わり、借金を完済したらゲームが終わるというルールで、戦略によっては今回のような短期戦も大いにありうる。いつ終わらせるかという駆け引きが熱い、高度にインタラクティブなゲームだった。
Grand Cru
U.ブルム/エッガートシュピーレ(2010年)
2〜5人用/12歳以上/90分
ホビージャパンから発売予定