ある会社が偶然タイムマシンを発明したので、歴史家は大喜び。貴重な資料を調べて現代に本当の歴史を報告することができます。与えられた2台のタイムマシンを駆使して、ドイツの歴史を探りに行きましょう。
……ってドイツ史はあんまり馴染みがないんですが、「ゲルマン民族の移動(375〜)」、「古代ローマ帝国(500〜)」、「十字軍(1095〜1291)」、「ハプスブルク家(1273〜)」、「ビザンツ帝国の終焉(〜1453)」、「宗教改革(1500〜)」、「30年戦争(1618〜1648)」、「専制政治(1650〜)」なんかが小さい箱になっていて、そこに3枚ずつカードが入っています。
カードはテーマごとに3枚1組になっていて、はじめは各時代にバラバラに入っています。これをタイムマシンを使って集めるわけです。1枚1枚が歴史のひとコマになっていて、例えば「食べる」シリーズだと、「台所の女」、「井戸」、「調理道具」で1セットができあがります。
とはいってもドイツ語なので、箱は年代の数字で、カードはテーマのシンボルマークで識別するしかないんですけどね。歴史の妙味は味わえませんが、ゲームとしては問題なく遊べます。
小箱は全部まとめてボックスに入っています。そこに大きなついたてが付いていて、どの小箱を開けたのかはほかのプレイヤーに見えません。タイムトラベルはこっそりと。でもインチキをしてはいけませんよ。
さてはじめに1人ずつ、好きな時代の小箱にタイムマシン2台を仕込みます。この時代からスタートです。自分の番にはひとつ、小箱を開けて中身をよく覚えます。そしてタイムマシンと一緒にその中から1枚抜きます。1周に時空を飛び越えて、次の番になったら別の時代に着陸です。また小箱を空けて、タイムマシンと一緒に持ってきたカードを入れます。
これを繰り返すうちに、1つの時代に同じテーマのカードを集めてくることができるでしょう。3枚揃った時代に自分のタイムマシンがいて、ほかのタイムマシンがいなければ現代に独占スクープして勝ちです。
でもその前にほかのプレイヤーのタイムマシンが着陸しないとも限りません。あと1枚で揃うというところで、ほかのプレイヤーが邪魔するためにほかの時代に持ち去ってしまうこともあります。どこに持ち去ったかは、もう分かりません。またそのテーマを集めるよりは、別のテーマで集めなおしたほうが早いかも。そのためにも、集めていないカードまで覚えておく記憶力がものを言います。「あのカードは確かこの時代にあったな」と。
カードはタイムマシンだけでなく「時間の幽霊」でも運べます。いろんな時代にウロウロしているので便利ですが、ほかのタイムマシンが来たら横取りされてしまうので注意が必要です。それからペストのカードがあると着陸できませんし、ドイツの女神ゲルマニアのカードがあると何と3回休みです。お祭りに巻き込まれるんだとか。タイムトラベラーもつらいよ。
プレイ時間はなぜか42分。でもいきなり小箱を開けたら天和だったりして即終了なんてこともあります。
ひたすら記憶のゲームですが、実際、時間旅行ができるようになったら記憶力が頼りになるんでしょうね。一枚一枚手描きのカードは見ごたえがあります。
作者は『シュラウム人』、『こんなもの、どんなもの』、『私の世界の見方』のU.ホシュテトラー。常人にはついていけないひねりようです。よくこんなもの思いつくなぁ。
Zeitreise in die Deutsche Geschichte
デザイナー:U.ホシュテトラー
メーカー:ファタ・モルガーナ(スイス)
発売年:1993年
3〜6人用、12歳以上、42分(実プレイ時間は40〜90分)
同じ系統のゲームとして、”Cloak & Dagger”(1990)があります。
このレビューは、biscoさんの依頼を受けて作成したものです。ほかの3タイトルについては、biscoの地雷備忘録に掲載されています(bisco便#1、bisco便#2、bisco便#3)。