カサブランカ(Casablanca)

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カサブランカの街で機密書類の入ったスーツケースをスパイに持ち帰らせるゲーム。「ヒュレ7」「ブラックボックス」などアブストラクト系が今残っているエリック・ソロモンの作品で、1991年の年間大賞にノミネートされています。日本では「シグマ・ファイル(セブンタウンズ、1970)」というタイトルで紹介されることが多いようですが、「エージェント(ペリカン、1975)」「コンスピラシー(MB、1980)」と来て、アミーゴから1991年にこのタイトルが出されるまで、3回のリメイクで20年以上遊ばれてきたゲームです。
 ボード上には8人のスパイがいます。どのスパイが誰のものというわけではありません。あるスパイが、ボード中央からスーツケースをアジトに持ち帰った時点で、そのスパイに一番多く懸賞をかけていたプレイヤーが勝ちます。
 各プレイヤーは懸賞記入用紙とそれを隠すシート、ペンを持ちます。はじめ3人のスパイに持ち金の10000ドルから自由に懸賞をかけて、ゲームスタートです。
 手番にはコマを1つ移動する、同じマスにいるスパイを暗殺、懸賞を増額するのいずれかができます。スーツケースのあるマスにいれば、移動のときにスーツケースを運べます。ただし、運ぶためにはもう1人のスパイがそのマスにいなければなりません。こうしてスパイたちはボード上を行ったり来たりしながら、激しいスーツケース争奪戦を繰り広げます。
 移動と暗殺には、他のプレイヤーが反対できます。反対が出たら、どれだけ懸賞をかけているか明らかにして比べあい、より多く懸賞をかけている方の意見に従います。高い懸賞をかけていることがわかってしまうと、そのスパイのマークが厳しくなってしまうので、いかにほかのプレイヤーの注意をそらすかがひとつのポイントです。目立つスパイを消した暗殺者が、今度は別のスパイに消される…なんてハードボイルドなことが起こります。多額の懸賞をかけていたスパイが消されたときの悔しさったらありません。
 終盤は、あと数歩でアジトに帰れるスパイを取り巻いて、敵か味方かわからないスパイがうろうろします。目星をつけて懸賞を増額するか、それとも暗殺を仕掛けるか、はたまたノーマークのスパイでスーツケースを奪い取るか、みんなの思惑が複雑に絡み合い、予断を許さない緊迫した状況になります。
 1回目は反対のタイミングをつかめずにあっさり終了。2回目は序盤から暗殺が続き、少ないスパイのせめぎ合いとなりました。レッドがアジトに帰るちょっと前の混戦状況に、思いっきり懸賞を増額したMoさんの勝利。決断力が要求される心理戦のゲームですが、ほかのプレイヤーの持ち金が推測できるようになっており、戦略性の要素もありました。それでいて、手番にできることが少ないため、多人数プレイ(8人までプレイ可能)でも待ち時間がありません。最後に向かって盛り上がっていくところもよくできており、長年愛されてきたゲームだということもよくわかりました。参加者も全員面白いと言ってくれました。
Casablanca
E.ソロモン / アミーゴ, 1991

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