街の発展はサイコロとともに
今月のゲームマーケットでは、100タイトルもの新作国産ゲームが発売された。その後、ちらほらとレポートが上がってきているが、評判がいいのがこの作品である。ニンテンドー3DSソフト『ひらり 桜侍』のグランディングが手がけたアナログゲームということで会社名から注目されたということもあるだろう。でもそれだけではない。
サイコロを振って自分の街を広げていくゲーム。サイコロを振って収入を得、そのお金で建物を買うというシンプルなルール、出目によっては全く収入が入らないサイコロ運、30分程度という短めのプレイ時間はどれも、初心者向けの要素なので、ゲーマーには物足りないかと思いきや、実は細かい選択肢が用意されていて、満足できる作品となっていた。
最初の建物は2つ。誰の番でもサイコロで1が出ると1金を得られる「麦畑」、自分の番のみ、サイコロで2か3が出ると1金を得られる「パン屋」だけである。このほかにいくらかお金をもっているので、建物を購入していく。
ゲームの目的は、4つの大型施設「駅」「遊園地」「ショッピングモール」「電波塔」を建設すること。これらは普通の建物に比べて高く、一番高い「電波塔」に至っては22金も必要となる。序盤は「そんなに貯まるのか?」と思うくらいの大金を、どうやって生み出していくかがカギとなる。
建物はほとんどが収入の入るものだが、誰が振ってもよいもの、自分の番に出ないと入らないもの、さらに誰かが振ればその人からもらえるものと分かれる。自分の番が回ってくるまでいつの間にかお金が増えていたり、かと思えばダメな目を振って一度に持っていかれたりとドラマチックだ。
こう書くと運ゲームだと思われるかもしれない。確かに運の要素は強いが、その一方でいくつかの戦略を立てることができるのが面白い。
戦略のひとつは、購入する建物のチョイスである。同じ建物は(売り切れるまで)いくつ買ってもよく、さらに森林+家具工場のように、コンボで収入を増やす方法もある。同系統の建物を固めれば、当たったときに爆発的な収入が期待できる。その一方でまんべんなくいろいろな建物を作り、どの目が出てもそれなりに収入できるようにしておくという手もある。
もうひとつが、サイコロを1つ振るか2つ振るかという選択だ。一番安い大型施設の「駅」を作ると、手番にサイコロを2つ振れるようになるが、1つでもよい。というのも、序盤には1から6の目で動く建物がほとんどなので、2つ振るのは7以上で動く建物を購入し始めてからでよい。2つ振り始めると、1や2で動く建物は使えなくなるところが、街の発展に伴う旧産業の疲弊を感じさせてリアルである。
4人プレイで30分ほど。ぼったくりの「ファミレス」で圭子さんがどんどん吸い取る中、塚本さんが建物のコンボで高収入体制に。それを追うぽちょむきんすたーさんは、8が出れば「家具工場」で大儲けできるようにしていたが、肝心の8が出ず。その間にまんべんなく建物を作って少しずつお金を貯めた私が最後の「電波塔」を作って勝利。
直感で建物を選んでもいいし、綿密な都市計画に沿って選んでもよい。その結果がどうなるかはサイコロ運次第だが、自分で満足できる街を作り上げるのが楽しい。
街コロ
菅沼正夫/グランディング(2012年)
2〜4人用/7歳以上/30分
グランディング:街コロ