(写真と文:石川 久)
今月もニュルンベルク・トイフェアで発表されたゲームがラインナップである。
4月12日には配送されていたが、仕事が忙しくなってしまった関係で荷物が受け取れず、遊ぶ機会も作れずにいた。4月27日の「水曜日の会」で、ようやくプレイすることができた。
●ブルゴーニュ(アーレア)12歳以上/2〜4人/90分(6点)
「ラムと名誉」「ノートルダム」「ドラゴンイヤー」「マカオ」と近年のアーレア・ブランドを背負って立つ、シュテファン・フェルトによるデザイン。これまでにリリースされた大箱シリーズ14作のうち5つを彼がデザインしている。
脂が乗っているフェルト
昨年10月のエッセン・シュピールではプロトタイプがお披露目された。メビウスの能勢さんのはからいで、これをプレイする機会に恵まれた。チーフエディターのシュテファン・ブリュック氏が英語でルールを説明し、それを小野さんが同時通訳してくれた。
パウチされたボードのプロトタイプ
ブルゴーニュとはフランス東部の地方のことで、ワインの生産地としても知られている。地名は中世にこの地方を支配したゲルマン人のブルグント族に由来する。プレイヤーは、このブルゴーニュの有力貴族となり、ロワーヌ川畔の自分の領土を発展させるのが目的。
ゲームは5つのフェイズで構成され、さらにひとつのフェイズは5つのラウンドから成る。プレイヤーボードにタイルを配置する箱庭系で、ラウンド毎に自分のダイス2個を振っては、その出目に対応するアクションを実行していく。ルールそのものは至ってシンプルだ。
プレイヤーボード
メインボード
手番にできるアクションは以下の4つ。
・メインボードからタイルを確保
・確保したタイルをプレイヤーボードに配置
・商品を売却
・労働者2人を獲得
それぞれのタイルや商品にはダイス目が記されており、それと同じ出目のダイスを消費することでアクションが実行される。必要なダイス目が出なければ、労働者を消費することで±1の修正を加えることができる。ひとつのダイスに対して労働者を何人消費してもいいので、ここぞという時には出目を修正して、やりたいアクションを実行することになる。
タイルにはさまざまな能力があって、プレイヤーボードに配置することでその効果が発動される仕組み。言語依存のない判りやすいアイコン表示になっている。このタイルは隣接して配置していかなければならないため、開拓の計画性も重要だ。
ひとつのエリアをタイルで埋めると勝利点が獲得でき、同じ色のエリアに全てタイルを配置すれば、早い者勝ちでボーナス点も入る。その争いも熾烈になってくる。
手番が早いほど、欲しいタイルを得られる可能性も高く有利になる。この手番順は、船のタイルを配置することで変更される。また商品を獲得するのも、船のタイルをプレイヤーボードに配置しなければならない。
お金は貴重な存在で、商品を売るか、鉱山タイルを自分のボードに配置しない限り入ってこない。手番に2金支払えば、追加のタイルを確保できる。
勝利点を獲得する方法は多岐に渡り、それだけ戦略性も高く、単にダイス運に一喜一憂するゲームとは異なる。
プロトタイプをプレイしてから半年経過したこともあってか、変更点も定かではないが、ボードデザインも見直され、得点のバランス調整もなされていたのではないだろうか‥‥。
4人でのんびりプレイして、2時間半近くかかってしまった。
大箱シリーズも14作目
◎スコア ※敬称略
PAN−TA 231, まいきぃ 263, 石川 279,さか 245
◎メビウスおやじ「ブルゴーニュ」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-e84b.html
◎小野さんによるプロトタイプのレポート
http://www.tgiw.info/2010/10/burgund.html
◎Die Burgen von Burgund for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/84876/die-burgen-von-burgund
●ウルル(コスモス)8歳以上/1〜5人/30分(3点)
デンマーク人のロージェ・ルーハウは、このゲームがデビュー作である。
「ウルル」とは、オーストラリアの中央に位置する「エアーズロック」とも呼ばれる一枚岩のことである。もともとは原住民のアボリジニによる呼称だったのが、現在では正式名称となっている。
アポリジニアートが印象的
ゲームは6ラウンドに渡って行われ、ボードに描かれた8つの動物それぞれに条件カードを配置し、砂時計をひっくり返したらラウンド開始だ。
プレイヤーは動物の色に対応した鳥の形のコマを持っていて、それをカードの条件に従って自分のボードに配置する。砂時計が落ちたら、それぞれをチェックして、条件を満たしていないコマや配置できなかったコマにつき、マイナスポイントのマーカーを受け取る。ゲーム終了時にこのマイナスポイントが最も少ないプレイヤーの勝利。
ボードに配置したカードにより条件が決められる
プレイヤーボードに鳥の形のコマを置くだけ
ソロプレイでも遊べ、これはゲームというよりはパズルだ。プレイヤー・インタラクションは全くない。
カード裏面の数字により難易度を調整できるように工夫されている。それでも慣れないうちは、砂時計の制限時間内(45秒)に問題を解くのはかなり難しい。ゲームを始める前に1ラウンドお試しでプレイすることをお勧めする。また全員が問題を解くことに集中するあまり、砂時計が落ちていることに気づかないこともあるのから、アラームで知らせてくれるキッチンタイマーを利用した方が良いだろう。
このゲームの問題は、カードによっては条件に矛盾が生じて、パーフェクトな正解が存在しないケースが起こることである。その場合はなるべく条件が合致するようにして、マイナス点を少なくするように努めるわけだが、正解がないとモチベーションも否応なく下がってしまう。
◎スコア ※敬称略
草場純 -8,石川 -4,河原 -13, どきゅん -7, いたる -9
◎メビウスおやじ「ウルル」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-c752.html
◎Uluru for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/90870/uluru
●モンスター(アミーゴ)8歳以上/3〜5人/30分(4点)
作者のティム・.レーディガーは、昨年「ドゥイービーズ」でメジャー・デビューしたオーストラリア人デザイナー。子供と一緒に遊べるゲームを作ることをモットーにしているという。
セットコレクションとオークションが合わさった感じのカードゲームで、得点が15ポイント以上のプレイヤーが出た時点でゲームは終了。そのプレイヤーが勝利する。手番プレイヤーが提示したカードを他のプレイヤーたちは自分の手札のカードを使って競り落とすタイプだ。
81枚のカードをシャッフルして、各プレイヤーに8枚ずつ配ったら準備完了。最初だけはランダム(ルールブックには最も毛深い人と指定されている)に手番プレイヤーを決めるが、以降は前ラウンドの落札者が、次のラウンドの手番プレイヤーとなる。
まずは手番プレイヤー以外の中で、手札枚数の最も少ないプレイヤーが山札からカード1枚を補充する。該当者が複数いても全員が補充できるため、第1ラウンドにおいては、手番プレイヤー以外の全員が1枚補充する。
手番プレイヤーだけが、カードに書かれている数字と同じ枚数のそのカードをプレイでき、そのうちの1枚を得点化できる。例えば、「3」のカードを3枚プレイしたら、そのカード1枚を3点として得点できるわけだ。他のカードは捨て札にされ、15点を超えない限り、複数のセットを提示して得点化できる。
さらに手番プレイヤーは、山札から1枚めくり、それに自分の手札から1枚のカードを追加してオークションにかける。
他のプレイヤーは順不同に手札から裏向きにカードを出して入札し、その枚数で誰が落札するかが決められる。同数の場合、それぞれが入札したカードの一番上をめくり、それを見た上で手番プレイヤーが落札者を決定する。誰も入札しなかったとしても、手番プレイヤーは落札者を決めなければならない。
いつものアミーゴのカードゲームサイズ
面白いのは、落札できないまま入札に使われたカードは、そのまま次ラウンドに持ち越されて、入札に使用したものとして扱われるところである。しかし、このルールが相場感を掌握しづらくしている欠点でもある。また競りにかけられるカードのコントロール度合いが中途半端なのも盛り上がりに欠ける要因になっている。毎ラウンド、手札枚数を申告するのもちょっと煩わしい。
ヘンテコなモンスターたち
カード構成は、2が6枚、3が9枚、4が12枚、5が15枚、6が18枚、7が21枚と、カードの数字の3倍の枚数だけ、そのカードがある。
◎スコア ※敬称略
草場純 8,さくや 12,けがわ 5, 石川 15, どきゅん 7
◎メビウスおやじ「モンスター」の紹介
http://mobiusoyaji.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-00a1-1.html
◎Monsta for BoardGameGeek
http://www.boardgamegeek.com/boardgame/90467/monsta