ニュルンベルク’12新作情報:クイーンゲームズ
いつもはリリース情報がなかなか出ないクイーンゲームズですが、早々に発表しました。
★江戸(Edo)
L.マルツ&S.マルツ作、2〜4人用、12歳以上、60分。
2010年のヒッポダイスデザイナーコンテストで、長時間ゲーム部門を受賞した作品「アルティプラノ(Altiplano)」のテーマを替えたものです。プレイヤーは大名となり、将軍のために侍を使って江戸の街を豊かにします。アクションカードは1枚が年貢や建設などの4面に分かれており、これらを並べてアクションをプロットします。そして侍をそれぞれのエリアに移動して、プロットしていたアクションを行います。建設や商業で得点が入り、誰かが12点に達したラウンドでゲーム終了となります。所持金やアイテムでボーナスが入り、得点の多い人が勝ちです。
★エスケープ:マヤ神殿の呪い(Escape: The Curse of the Mayan Temple)
K.A.オストビー作、2〜5人用、8歳以上、30分。
神殿で宝石を集めて脱出する協力ゲーム。ダイスで移動して新しいタイルを置き、ダイスでアイテムを獲得します。アイテムは遠くの部屋に移動したり、壁を通り抜けたり、体力を回復したりします。サウンドトラックCDを流しながらの全員同時プレイで、ときおりカウントダウンが入り、0になったときに安全な部屋にいないとダイスを失います。3回目のカウントダウンが終わる前に、全員出口タイルから脱出できれば勝利。1人でも出られなかったら敗北です。
★カイロ(Kairo)
K.ソルサモ作、2〜4人用、8歳以上、60分。
ヘルシンキを舞台にしたフィンランドのボードゲーム『トリ(Tori)』のリメイク。屋台タイルを配置し、魅力的な商品を並べて集客を競います。大きな屋台ほど得点も高くなりますが、客が来なければ何にもなりません。客の需要を見据えて屋台を選ぶ必要があります。
★マハラニ(Maharani)
W.パニング作、2〜4人用、8歳以上、40分。
プレイヤーは建築家となって、亡き王妃のためにタージマハルを建設するシャー・ジャハン帝を助けます。美しいモザイクタイルを配置して、得点を競います。モザイクタイルは回転式で取り、別な場所から建設していくことができます。モザイクが完成したとき、最高の建築家が勝利します。
★機関車作品(Locomotive Werks)
D.ダンツィガー作、3〜5人用、10歳以上、120分。
クイーンゲームズの鉄の馬シリーズ第2弾。鉄道をテーマにした経済ゲームです。19世紀、ドイツの鉄道網は急速に広がりましたが、追いついていませんでした。エンジンの生産能力を購入し、労働者を雇って生産して、マーケットに売ります。新製品が出ると旧機種の値段が暴落するマーケットで、開発競争を行います。
★アーバニゼーション(Urbanization)
J.エプセン作、2〜4人用、12歳以上、75分。
産業革命から現代にかけて、田舎の村を都市に成長させます。家を建てて市民を集め、工場を作って繁栄させます。効率よく都市化に成功させたプレイヤーが勝ちます。運の要素がないゲームです。拡張が2つ同梱されています。
★キングダムビルダー:遊牧民(Kingdom Builder: Nomads)
D.X.ヴァッカリーノ作、2〜5人用、8歳以上、60分。
昨秋に発売されたばかりの新作の拡張が登場します。空いているスペースに石を置くなどの特殊能力が得られる4枚のボード、新しい得点方法が記されたカード、5人まで遊べるコマが入っています。お城のところに遊牧民タイルが置かれ、最初にこれを取った人は開拓地を移動したり、建設ルールを無視して作ったりできます。
★テーベの東:トゥームレイダー(Thebes: The Tomb Raiders)
P.プリンツ作、2〜4人用、10歳以上、30分。
日本語版も発売される予定の発掘ゲーム『テーベの東』のカードゲーム版。時は20世紀、ヨーロッパは外国文化に強い興味を示し、その宝物は考古学者を惹きつけてやみません。知識を蓄え、珍しい宝を求めてエジプト、メソポタミア、クレタ、ギリシャを探検します。
★ヴァレンシュタイン(Wallenstein)
D.ヘン作、3〜5人用、12歳以上、120分。
2002年に発売され、その後『将軍(Shogun)』としてリメイクされた戦争ゲームの再版です。2つの拡張が新たに追加されます。「皇帝の廷臣」では、ゲームの最初にダイスタワーから落ちたコマが皇帝の廷臣となり、最も多く廷臣を出しているプレイヤーが特権を得ます。「従者」では、4つのエリアを支配している人がカードを引き、お金や軍隊などのボーナスを得ます。
・ニュルンベルク’12新作情報
シベリア(Siberia)
天然資源の獲得競争
モンゴルの北に広がるシベリアは、針葉樹林タイガやツンドラが広がる広大な地域である。東西も南北も北海道から沖縄以上の距離があり、面積は日本国土の14倍にもなる。決して地図の図法で大きく見えるだけではない。
日本では、戦後のシベリア抑留という苦い記憶があって必ずしもよいイメージをもたれていないが、近年、資源の宝庫として注目を浴びている。天然ガス、石油、石炭、金、ダイヤモンド。この5つの資源をめぐる資源獲得競争が、このゲームのテーマだ。
前年の『バンコクの運河』に続き、エッセン国際ゲーム祭でdlpゲームズが発表した作品。生産が間に合わず、エッセン後の発売となった。資源を掘って富豪を目指す。
資源を売るまでには周到な準備が必要だ。売りたい資源があるシベリアのエリアに労働者を送り、その資源が高く売れる取引所にセールスマンを送り、その資源のアクションを行なってはじめて、収入が入る。
これらのアクションを選ぶシステムは、ランダムに引いたチップをプロットする方式。やりたいアクションがあっても、そのチップを引けなければできない。引いたチップの中で、最良の選択肢を考える必要がある。ほかの人に先を越されないように気をつけて。
アクションチップは、2種類の絵柄がついており、そのうちどちらのアクションに振り分けてもよい。ただし、アクションを発動させるには、同じ種類のアクションチップが2枚必要だ。毎ラウンド、はじめに6枚のアクションチップを袋から引いて、自分のアクションボードに配置する。
アクションはどれから発動してもよい。労働者を新たにウラジオストクに送る、労働者を合計3歩まで移動する、セールスマンを取引所に送るか移動する、チップが足りないアクションにジョーカーを送る、改良チップを取ってこれ以降1枚だけでアクションできるようにする、ダイヤを取って売る、金を取って売る、石油を取って売る、石炭を取って売る、天然ガスを取って売るの10種類。アクションを行ったら、アクションチップは袋に戻す。
理想的なパターンは、複数の労働者をいくつかのエリアに送り、資源が高く売れる取引所にセールスマンを置いた上で一気に資源を売るというもの。これなら少ないアクション数で大儲けできるが、複数の労働者を配置するまで時間がかかれば、ほかの人に先に取られてしまうかもしれない。
シベリアの資源は無尽蔵ではない。取って売ってしまうと、調査して新たに生み出さない限り、そのエリアには資源がなくなってしまう。また終盤には調査しても、ストックの資源がなければもう生み出されない。高価なダイヤや金はなくなりやすく、競争率も高いので、まとめ売りは狙いにくい。
資源のないエリアが8つになるか、ストックのない資源が3つになるとゲーム終了。持ち金勝負。
ダイヤモンドに集中した鴉さんが序盤に大儲け。私は金を狙ったが、労働者を移動させるアクションが出なくて出遅れてしまう。鴉さんはその後も、調査して採掘という生産的な方法で確実に儲けるが、私は調査せずに採掘しまくるので資源が枯渇して、労働者が返ってきてしまう。乱獲のとばっちりを食う神尾さん。結局、ダイヤがなくなった後もコンスタントに資源を採掘できた鴉さんが1位。
アクション選択も実行もあまり迷わず、ゲームの終了条件が加速度的に早まっていくのでテンポのよさが気持ちいい。それでいて考えどころはところどころにしっかり用意されている。悩みどころを確保しつつ要素を絞るというドイツゲームのスタイルは近年あまり評価されなくなったが、今もこうして息づいているのがうれしい。
Siberia
R.シュトックハウゼン/dlpゲームズ(2011年)
2〜4人用/10歳以上/60分
ゲームストアバネスト:シベリア