SOS(SOS)
ほんの一滴が明暗を分ける
エッセン・ボードゲームメッセの中古ブースで、ふうかさんが見つけた一品。見たことがないなあと思って箱を眺めていたら、お店の主人が「5ユーロ(500円)でいいよ!」とまけてくれた。デザイナーは『アヴェ・カエサル』のリーデッサー、出版社はラベンスバーガーとメジャーながら、Boardgamegeekにも登録されていなかった。なんで?
船を沈めないように、船体に水を垂らすゲーム。自分の番にはサイコロを振って、何回水を垂らすか指示される。2,3滴でも、ジャジャーっと流れても1回は1回。最初水に浮かべたときから沈みそうになっている船は、水を注ぐたびにゆらゆら。もうだめぽ、と思ってもなかなか沈まない。
しかし最後はあっけなく訪れる。船が水底にずぶずぶと沈んでいくのだ。一滴でも沈むことがあってその差は紙一重。沈んだときには思わず歓声が上がる。沈めた人が、自分のロープに1つ結び目を作り、誰かが3つ結び目を作ったところで、結び目の一番少ない人が勝ち。
サイコロには誰かを指定して水を注がせる目があり、またゲーム中1回だけ使えるパス(次の人の手番)のコマがある。さらに、水がこぼれたときに使うスポンジまで付属。今から20年前、これで大箱サイズで発売したラベンスバーガー社の英断に、賛嘆の声があがった。同人リメイク希望。
SOS
W.リーデッサー/ラベンスバーガー(1992年)
2~4人用/4~12歳/15分
絶版・入手難
『フォルム・ロマヌム』日本語版、ゲームマーケットで先行発売
ニューゲームズオーダーは今月18日のゲームマーケットにて、W.クラマーの往年の名作『フォルム・ロマヌム(Forum Romanum)』日本語版を先行発売する。2~6人用、10歳以上、45分、3000円。100部のみの限定販売で、一般発売は年明けの見込み。
オリジナルは1988年にフランク・コスモス(現コスモス)社(ドイツ)が発売した作品。国内ではこれまで「フォーラム・ロマーナム」と呼ばれている。ローマを舞台に、建物やギルドに市民を置いて得点を取る陣取りゲームで、クラマーが『アンダーカバー(Heimlich & Co.)』で名を馳せた翌々年に発表した。
手番には7×7のマスのいずれかに自分の色の市民コマを置くだけ。ストックの市民コマがなくなったらすでに置いてあるものを移動する。そのうち縦の列、横の列、斜めの列、6~9マスの区画に全てコマがおかれたら得点計算が発生。単独最多で市民を置いている人が得点する。
ポイントは市民の数が最も少ない人(0人も含む)は減点になってしまうところ。得点計算はそこかしこで頻繁に発生するので、減点を避けるよう市民を分散することも必要となる。ここの市民は動かしたくない、でもこちらにも市民を置きたいと悩ましい。得点状況によって微妙な協力関係が築かれたり、それがまた裏切られたりとプレイヤー間のアヤも楽しめる。
『古代ローマの新しいゲーム』『アイム・ザ・ボス・カードゲーム』と共に、世界的にも再版されていない作品を一挙3タイトル発売するニューゲームズオーダーは、90年代のドイツゲーム黄金期を形成しながら顧みられていない名作を今後も再版していく考えだ。
・B2FGames:「フォルム・ロマヌム」日本語版、11/18のゲームマーケットで先行販売致します。
・play:game評価コメントリスト:古代ローマの新しいゲーム