ニュルンベルク’14新作情報:アバクスシュピーレ
『ズーロレット』に続いて『花火』でドイツ年間ゲーム大賞を受賞した出版社です。
★漢(Han)
M.シャハト作、2~5人用、10歳以上、45分。
作者がボードゲームデザイナー活動25周年を迎えるにあたり、代表作『王と枢機卿』のリメイクである『チャイナ』を再リメイクします。舞台は中国。カードをプレイし、対応するエリアに家と公司コマを配置して、陣取りをします。各エリアでは家の数、隣接する2エリアでは行使の数で最多数を競い、さらに街道沿いにつながった家の数でも得点します。複数のエリアにまたがる主要都市もあります。ボードは「国境紛争」と「外交の道」の両面になっており、それぞれ得点が2倍になる砦、行使を追加できる市場のバリアントもあります。
★ブー!(Oink!)
I.コーン作、2~6人用、6歳以上、15分。
リアクションゲーム。順番にカードを中央の場に出します。そのとき、前にあったカードと同じ動物ならば、いち早くカードを叩いてその動物の鳴き声を真似します。ただしブタカードだったり、カードの合計が7になったりしたときには例外的に「ブー!」と鳴かなければなりません。カードのイラストと数字の両方を見て、正しいリアクションをすばやく行います。
★リメス(Limes)
マルティンF作、1~2人用、8歳以上、20分。
エマゲームズ(オランダ)から2008年に発売されたパズルゲーム『シティーズ(Cities)』のリメイク。舞台は古代ローマとなりました。さまざまなパターンのタイルを4×4枚の枠内に配置し、コマを置いて得点します。『テイク・イット・イージー』の要領で、1人が引いたタイルと同じタイルを相手も配置します。16マスが埋まったらゲーム終了で、コマの置かれている地形によって得点が入り、合計を競います。2セット買うことで、4人までプレイできるようになります。
ロシアンレールロード(Russian Railroads)
より遠く、より新しく
ゲーマーの信頼厚きハンス・イム・グリュック社(ドイツ)では、ここ数年で一番の重量級作品だという。鉄道というテーマも相まってゲーマーの注目度は高く、シュピールのスカウトアクションで1位になった。緻密な戦略性と多彩な得点パターン、ワーカープレイスメント特有の「人足りない!」「先に置かれた!」という悩ましさは、今のゲーマーの快楽ポイントを見事についてくる。
シベリア鉄道、豪華なサンクトペテルブルク線、新しいキエフ線の3つの路線に線路を引き、列車を走らせるゲーム。鉄道だけでなく、技術革新にも力を入れて、毎ラウンド入る得点を増やしていく。
ゲームの骨はワーカープレイスメントである。いろいろあるアクションスペースに、手持ちの労働者コマを置いてそのアクションを行う。前に誰かが選んだアクションは行えない。これを手持ちの労働者がなくなるまで続ける。
アクションスペースは26もあるが、大きく分けて線路敷設、列車配置、技術革新、技術者の獲得の4種類である。大きく分けて、路線を伸ばす戦略と技術革新を進める戦略があるので、別々に見ていこう。
路線を伸ばすには、線路を敷設して、そこに列車を配置することになる。線路敷設は、マイボードの3路線にある線路コマを進めることで行う。線路はただ伸ばすだけでなく、黒、灰色、茶色、象牙色、白という5種類があり、より良質の線路を延ばすことで得点が増えるようになっている。ただし、灰色は黒が通った後、茶色は灰色が通った後・・・というように、高級な線路は後から敷かなければならない。しかし1回のアクションで進められるのは1つのコマを1マスか2マスだけ。地道な作業が求められる。さらに、線路を伸ばした後にその長さを満たす列車を配置する必要がある。最初は1マスしか進めない手動式の車が1台だけ。シベリア鉄道は13マスもあり、終点までたどり着けるかは微妙なところだ。遅々として進まないのは共産主義への皮肉だろうか?
技術革新は、マイボードにある技術度のコマを進める。途中から、工場を作らないと技術度が上がらないようになっていて、しかも工場は列車タイルを裏返して使うものだから、鉄道と両立しにくい。しかし工場を作れば、得点などのさまざまな恩恵が受けられる上に、さらに技術革新を進めれば毎ラウンド高得点が入ってくるので魅力的である。
もちろんこの2つはどちらかだけでは勝てず、両方をうまく伸ばしていくのが一番強い。というのも、どちらも進めた先々でボーナスカードなどの特典がついてくるからだ。「?」と書かれたところまで列車が走るか、技術革新が進めば、何枚かあるチップから1つを選んで、強力な恩恵を受けられる。これで自分の弱点になっている要素を補強したり、戦略をスピードアップしたりできる。
技術者は、流動的なアクションスペースである。強い効果があるが、誰かが入手すると、その人だけが使えるようになる。さらにこの技術者の数によって得点が入ってくるので疎かにできない。
ゲームは7ラウンドあり、毎ラウンド最後に、マイボードの状況によって得点を入れる。第1ラウンドは5点とか6点とかいっていたのが、最終ラウンドは100点前後の得点が入ってくる成長ぶりが気持ちいい。ゲーム最後にボーナスを得て、得点の多い人が勝ち。
4人プレイで2時間。序盤は技術革新に特化したcarlさんが早々と得点をマックスにしてダブルスコア近いリード。逆転が難しいのではないかと思われたが、線路をほとんど伸ばさなかったのが後に響いた。鴉さんが工場をうまく使って路線を急速に延伸。点数の伸びがやや鈍ったcarlさんを抜いて1位となった。私は技術者でトップになったものの、序盤に技術革新を怠ったため成長が遅れ3位。
ほしいアクションをほかの人に取られることも想定して、限られたアクションでできるベストは何だろうかと考えるのはかなり頭を使う。列車が移動するわけではないので鉄道ゲーム感は薄いが、その分シビアなマネージメントにしびれた。
Russian Railroads
H.オーレイ、L.オグラー作/ハンス・イム・グリュック(2013年)
2~4人用/12歳以上/120分
メビウスゲームズ:ロシアンレールロード