ティンダハン(Tindahan)
陣取りは冷静に
フィリピンのフルーツ屋台で店主となって、フルーツと屋台を取り合うカードゲーム。2009年にバンブス・シュピーレ(ドイツ)で発売された『フィリピン・フルーツ・マーケット(Filipino Fruit Market)』が、ママダユースケ氏のイラストでリメイクされた。パイナップルやバナナなど、南国のフルーツでシビアな戦いが繰り広げられる。
順番にカードを出して、一番強いカードを出した人が取るトリックテイクが基本。切り札の色は、最初のプレイヤーが変えられる。1回勝つと、2万ペソがもらえる。
さて自分の番が回ってきたら、カードを出さないでそのフルーツの屋台にコマを置くことができる。勝つ見込みがないと思ったらそうするのがよいだろう。ゲームが終わったとき、屋台ごとにコマの一番多い人は5万ペソ、二番目に多い人は2万ペソがもらえる。
ところが、コマを置くために出さなかったカードは、マイナスになってしまうところがポイント。誰かの手札がなくなったときにゲームが終了し、残った手札1枚につき-1万ペソとなる。屋台に置いて大金をもらいたいが、ほかの人と競合すると、カードを出したほうがよかったということになりかねない。
写真の一番左の屋台はその典型である。白熱してコマを置きあった結果、たくさんの手札が手元に残ってしまった。カードを出したほうが得だったと思っても、後の祭りである。でも、ゲーム中は意地の張り合いで、「お前が置くならオレも置く」とヒートアップして、チキンレースになるのだ。
5人プレイで30分。激戦区をかわして、みんなが屋台を取りに行けばカードを、カードを取りに行けば屋台を取ったcarlさんが1位。しかしこのゲームには、1回もカードを取らず、コマも置かなかった人はトップと同じ収入が入るというルールがあって、神尾さんが3連続でベタ降りし同点1位。マストフォローなので、運が悪ければカードを取らなければいけない場面があるが、5人だとベタ降りしやすいようだ。
トリックテイキングと陣取りという、ドイツゲームの粋を一度に、しかも同時進行で楽しめる美味しいゲーム。でも甘くはない。
Tindahan
P.ジルフェスター/ニューゲームズオーダー(2013年)
3~5人用/9歳以上/30分
『裏切りの工作員』日本語版、3月8日発売
アークライトは3月8日、正体隠匿系の新作カードゲーム『裏切りの工作員(The Message: Emissary Crisis)』日本語版を発売する。3~9人用、15歳以上、30分、2940円。
2009年、千騏動漫社(中国)から『風聲』というタイトルで発売された作品。2つの超大国とそのバランスを保とうとする秘密結社。プレイヤーはこの3つの陣営のいずれかに所属し、それぞれが水面下で活動して別々の勝利条件の達成を目指す。
誰がどの陣営に所属しているか分からない中で、カードのやりとりを通して正体を探りあい、さらには自分の陣営に有利なカードを集めていく。自分の手元に送られたカードを取るか、スルーするのかによって、互いに相手の陣営や目的を推測する。陣営とは別に18枚のキャラクターカードが配られ、またカードにも特殊効果が満載で、それらをうまく使いこなせるかもポイントだ。
『シャドウハンターズ』のように、陣営の条件を満たす前に条件が揃えば個人で勝利できるキャラクターもあり、タイトル通りの裏切りとブラフが渦巻くゲームが楽しめる。
・アークライトゲームズ:裏切りの工作員 完全日本語版