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犯人は踊る(Criminal changes)

犯人はお前だ!
犯人は踊る
犯人カードを配られた人を当てるカードゲーム。だが犯人カードは次から次へと人の手にわたっていき・・・。『王様のマカロン』『王さまとカフェ』に続く鍋野企画の作品で、2013年のゲームマーケットで発売された。その後、再版されて名古屋ボードゲームフリーマーケット、ゲームマーケット2014大阪などのイベントや、すごろくや、イエローサブマリンで販売されている。短時間で終わって、繰り返し遊びたくなる作品だ。
1人4枚ずつ配り、「第一発見者」をもっている人からスタート。自分の番にはカードを1枚出してその効果を使う。誰かの手札を見る「目撃者」、誰かと手札を1枚交換する「取り引き」、全員がそれぞれの右どなりからカードを引く「うわさ」、全員がそれぞれ左どなりにカードを渡す「情報交換」。こうしたカードを通して、犯人カードが誰の手にあるか少しずつ明らかになっていく。
誰が犯人か、見当がついたら「探偵」で指名。このとき指名された人が犯人カードをもっていたら、指名した人が勝つ。ところが、犯人カードをもっていても、「アリバイ」ももっているとしらを切ることができる。ここがゲームのポイントだ。犯人でない人は、積極的にアリバイカードを出して無実をアピール。「○○さん、アリバイ出してませんね」「いや、本当にないんですってば」
犯人が勝つ場合もある。手札の最後の1枚が犯人だったとき、そのカードを出すことで逃げ切ったことになるのだ。このルールにより、手札が減るゲーム終盤は犯人も、犯人以外も興奮が高まっていく。
8人プレイで10分ほど。目撃者が出ず、「うわさ」や「情報交換」で手札がぐるぐる回っていたので犯人が絞り込めない展開。とりあえずアリバイカードを出す人は除外して考えてみたが、アリバイカードを出した後に犯人カードが回ってくる展開もありうる。そんなことをしているうちに手札が2枚、1枚と減ってきた。仕方がないから当てずっぽうに探偵でとなりの人、そのとなりの人と指名してみるが空振り。そこにやってきたのが「いぬ」。手札1枚の人を指名して、その人が犯人カードをもっていたら(つまり上がる直前だったら)勝てるカードである。これがぴたりと当たって勝利。犯人カードは案の定、警戒した人たちが流していた。
短時間で終わるのに妙にドラマチックで楽しい。目撃者や、カードを交換した人、犯人の疑いをかけられた人などが何をいうかもヒントになって、推理やコミュニケーションゲームの要素もある。逃げる犯人の楽しさ、追い詰める探偵の楽しさの両方があるので、何度か遊んでみるとよいだろう。
犯人は踊る
鍋野ぺす/鍋野企画(2013年)
3~8人用/8歳以上/15分
ショップ検索:犯人は踊る

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炭鉱讃歌(Glück auf)

掘って、運んで、売る
炭鉱讃歌
15万人が訪れるボードゲーム・メッセ「シュピール」の会場となっているドイツ・エッセン。ルール工業地帯を支えたツォルフェアアイン炭鉱は2001年、世界遺産に登録された。この炭鉱を舞台にしたボードゲームで、20世紀初頭にこの炭鉱から石炭を採掘し、注文通りに配達して得点を稼ぐ。原題「グリュック・アウフ(ご無事でありますように)」は、鉱内の作業員たちの挨拶である。

得点にするための道筋は、トロッコを購入して石炭を入手→アクションポイントで地上に搬出→カードに指示された石炭が揃ったら配送という流れ。これに、収入を得る、新しい注文を取るというのを加えて5種類のアクションを、ワーカープレイスメントで行う。したいアクションのスペースに自分の労働者コマを置いて、そのアクションを行う。

ワーカープレイスメントは通常、すでにコマが置かれているところは選べないのだが、1つ余計に置けば選べるところが特徴(『ブリュッセル1893』などにも一部そのようなスペースがある)。ただしコマの数は限られているので、同じアクションばかり選んでいるとあっという間になくなってしまう。だいたいやりたいことの半分ぐらいしかできない感じだ。

得点は、配達のときに入るほか、全員のコマがなくなってラウンドが終了したときにも入る。第1ラウンドは、配達した石炭の数。石炭には安価な黄色から高級な黒まで4種類あり、色別に多く配達した人がボーナスを貰える。第2ラウンドは、配達した石炭の数に加えて、配達に使った輸送手段(手押し車から鉄道まで)の種類別に多い人がボーナスを得る。第3ラウンドは、配達した石炭の数、配達に使った輸送手段に加えて、トロッコの数を競う。ボーナス要素が増えていくところが面白い。

4人プレイで1時間ちょっと。ほかの人とどれくらいかぶらないでアクションできるかがカギだが、トロッコタイルの色や注文カードの種類が偏っていたため選択肢の幅が狭まり、労働者を消耗する展開。その点、1ラウンド目に資金集めにつぎ込んだ鴉さんが選択肢の幅を広げ、労働者コマを節約して1位。私は高級な黒の石炭に手を出せないまま、ボーナスが伸び悩んだ。2番目に安価な茶色を伸ばしたが、次に黒を狙おうかというところで、黒のトロッコも、黒の注文も出てこなかった。

ワーカープレイスメントに、アクションポイントに、セットコレクションと要素を詰め込んでいるのに、直感的で分かりやすいのはさすが大賞作家コンビの手腕。テキストやアイコンによる特殊効果を削っているのも、遊びやすさにつながっていて好感がもてる。それでいてトロッコや注文の選択の幅、そしてアクションの順番に工夫する要素が多い。

Glück auf
W.クラマー、M.キースリング/エッガートシュピーレ(2013年)
2~4人用/10歳以上/60~75分