ブラックストーリーズ:50の”黒い”物語(Black Stories: 50 rabenschwarze Rätsel)
なかなか手強い物語
犯罪、死体、殺人、自殺の事件の真相を、質問を通して推理していくドイツのカードゲーム。1枚1枚、表に事件、裏にその真相が書いてある。ひとりが「リドルマスター」となり、表に書いてある謎の事件を紹介。ほかのプレイヤーは、「はい」か「いいえ」で答えられる質問を繰り返し、思いついたら真相の予想を述べ、当たったら勝利する。
今回の第一問は「新しい日の夜明け」。ある美しい朝、女は目を覚ました。窓の外をひと目見て、彼女は自殺したという。リドルマスターは私が担当した。
「外の風景は自殺と関係ありますか」「はい」「自宅ですか」「分かりません」・・・なかなか絞り込めない様子である。そこでヒントを出した。「宗教関係です」そこからひらめきが進み、bashiさんが正解。正解が気になる方は、製品をお買い求め下さい(笑)。
続いてbashiさんがリドルマスターとなって第二問「名物料理のレストラン」。少女は名物料理のレストランでイグアナのステーキを注文した。一口食べた途端に店から飛び出し、大型トラックの前へ身を投げ出した。bashiさんによると一部で有名な「ウミガメのスープ」と同じ話だというが、回答者は知らなかった。「宗教関係ですか」「いいえ」「人肉食と関係がありますか」「はい、いい質問です!」そこからBumiさんがうまくまとめて正解した。正解が気になる方は(略)。
事件を読んだときの、全く見当もつかない感じはものすごい。しかしこのゲームが『ブラックストーリーズ』というタイトルであるところがちょっとヒントで、ホラーや宗教の線で絞り込んでいくといいようだ。ある程度状況が飲み込めたところで、正解にたどり着くのがまた難儀。その最後のひとひねりが見事ひらめいたときは嬉しい。
どんな質問をしたらよいか見当もつかず、お地蔵さんになってしまう人もいた。でも考えても始まらないので、どんどん質問をして、ほかの人の質問に便乗していく。数撃ちゃ当たるで、手応えがあったらそこを深めていく。そんなブレインストーミングのような会話がこのゲームの楽しみ方ではないかと思う。
Black Stories: 50 rabenschwarze Rätsel
H.ベーシュ/モーゼス出版(2004年)・コザイク(日本語版、2014年)
2~15人用/12歳以上/20分
スシゴー!(Sushi Go!)
スシ食いねェ!
回転寿司で美味しいお寿司を食べるオーストラリアのカードゲーム。『ダンジョンレイダース』『考古学カードゲーム』のアドベンチャーランドゲームズから発売され、今年ゲームライト社(アメリカ)からも発売されることになっている。
配られた手札から好きな1枚を選び、残りを全て左どなりの人に渡す。同時に右どなりの人から渡されたカードから1枚を選び、また残りを左どなりの人へ・・・これを繰り返してカードを集める、いわゆるカードドラフトというシステムである。1つのカードセットが、1枚1枚取られながら何周かすることになる。これが回転寿司のようで楽しい。誰も取らないまま、また回ってくるようなお寿司はたいてい美味しくないところまで再現されている。
回ってくるのは握り寿司、巻き寿司、天ぷら、刺し身、餃子、そしてプリン。握り寿司は単独で点数になるが、イカが一番得点が高い。さらにワサビを加えると得点が2倍になる。巻き寿司はたくさん集めた人だけ得点。天ぷらは2枚、刺し身は3枚集めて初めて得点になる。餃子はたくさん集めるほど得点が増える。プリンはラウンド累積で、一番多く集めた人にボーナス、一番少なかった人にペナルティ。このように、ものによって得点パターンがいろいろあるのがバラエティに富んでいる。
面白いのは、全員の手札が1周回ってくるまで、今回出回っているカードの傾向がつかめないこと。例えば、刺し身は3枚集めないと得点にならないが、場に3枚あるのかどうか、はじめは分からない。その中で、初手から刺し身を取っていくのは勇気のいることである。しかし、全体を見てからでは手遅れになるので、一か八かで取らなければいけない場面がある。ほかの人が選んだカードも判断材料となる。
その悩ましさを解決してくれるのが箸カード。これがあると1回取るのを休んで次に1つのカードセットから2枚一気に取れる。これをつかってセットを一気に作れると美味しい。ただし早めに使っておかないと、残り物ばかりになってしまう。
長女と長男と3人でプレイ。長女はプリンを貯めこむという長期的な作戦(単に食べたいだけかも)、長男はワサビと握り寿司のコンボで得点を増やす作戦である。私は2人とも見向きもしなかった巻き寿司を集めてボーナスゲットし、プリンのペナルティを長男と分けあって無事逃げ切った。
美味しそうな寿司を手当たり次第に取っていくというのもいいが、ほかの人が選んだカードと、回ってくるカードを見比べて方針を考え始めると、もっと深く楽しめる。「お寿司のカワイイ顔が和む」というのは、長女の評。
Sushi Go!
P.ウォーカー・ハーディング/アドベンチャーランドゲームズ(2013年)
2~5人用/8歳以上/15分
ショップ検索:スシゴー!