まだ行けるのか?『マダ!』日本語版、7月19日発売
すごろくやは7月19日、『マダ!(Mada)』日本語版を発売する。ゲームデザイン:S.ヴァグナー、イラスト:C.S.ミラン、2~5人用、6歳以上、20分、1980円(税込)。
オリジナルはヘルヴェティク社(スイス)から2002年に発売された小箱のプッシュユアラックゲーム。『ノーリア』や『おいしい溶岩』のヴァグナーがデザインした。マダ行ける!でガマン比べをする。
手番には手札から自分の前に出すか、3枚になるまで手札を補充するか(3枚になったら補充できない)、一か八か山札からめくって自分の前に出す。前の数以上のカードを出さなければならず、山札からめくったカードで失敗するとバーストとなる。
その時点で他のプレイヤーは最後に出したカードを獲得し、新しいラウンドを始める。こうして誰かが5枚目のカードを獲得した時点でゲーム終了となり、カードのピンクサボテンの数で勝敗を決める。
大きい数ほどピンクサボテンも増えるが、バーストするリスクも高まる。3種類の特殊カード―一番上のカードを消すキツネザル、他のプレイヤーと山札を交換するダブルキツネザル、手札を減らすサソリ―で逆転を狙おう。
馬高(Umataka)
土器を作って木の実を調理
縄文時代に素敵なデザインの土器を作り、木の実を蓄えるワーカープレイスメント&ロンデルゲーム。燃え上がる炎のような形をした「火焔型土器」が出土した馬高遺跡(新潟県長岡市)がタイトルになっており、地元新潟の同人サークルが制作し、クラウドファンディングで389万円を集めて製品化した。新潟県立歴史博物館のミュージアムショップでも取り扱われている。
このような縄文テーマに関心がある人ならともかく、ローカルな作品は往々にして地元アピールのために学習要素を全面に出し、メカニクスは既存の使い回しということがある。しかしこの作品は「置いたワーカーの数だけロンデルのコマが進む」という面白いメカニクスだけでなく、アクション内容をシンプルにしてダウンタイムを減らし、特定の戦略が強くならないようにバランス調整されていて完成度が高い。
デザイナーのひとりはダイスアクションゲーム『モンスターコロシアム』やトリックテイキングゲーム『アニマナイズ』の無界氏。愛好者が口を揃えて面白いといい、ゲームマーケット新作評価アンケートで1位を獲得した。
手番にはワーカー(家族コマと犬コマ)をアクションスペースに配置して、資源や動物を獲得する。さらに置いた数だけ探索コマが進み、止まったマスでさらに資源や動物を獲得する。こうして1回の手番で2つのアクションを行えるが、ワーカーは節約したいのに、探索コマは先に進めたいという悩ましさがある(なのでワーカーをかさ増しする犬が重要になる)。
探索コマが製作マスを通過すると、土器を作るか建物レベルを上げることができる。土器は高級なものほど資源が多く必要で、しかも先に作るほど得点が高い。一方建物は4種類あり、レベルが上がるにつれてワーカーの増加は自分だけのアクションスペースなど、できることが増えていく。どちらも資源が必要で、やりたいことはたくさんあるのに、できることが限られている。
ワーカーを置けなくなった人からパスして、全員がパスしたらラウンド終了。探索コマの進度や、各アクションスペースのエリアマジョリティでボーナスがあり、これを4ラウンド繰り返してゲーム終了となる。土器は作って終わりではなく、木の実を入れて「調理」するとさらに得点をもたらすのがよい。土器のキャパシティをオーバーした木の実は腐ってなくなってしまうので、安い土器をたくさん作って木の実を入れる戦略もある。
探索コマは他のプレイヤーのいるマスを飛ばすというルールにより、「やりたいアクションのところに誰かが止まっていてできない」などのインタラクションがあり、面白いひねりとなっている。集めたい資源が明確なので長考が起きにくく、プレイ時間は4人で90分ぐらいと、昨今のゲーマーズゲーム水準では重すぎないくらい。それでいてゲーマー心をくすぐる要素がうまくブレンドしてあって、遊び終わった後の満足度が高い。
(犬の数<家族の数のルール間違いあり)
UMATAKA 馬高
ゲームデザイン:無界&ナポポラ、イラスト:立雪譚&まあや
銅鐸舎(2024年)
2~4人用/10歳以上/60~90分