ゴールドの大日如来ありがたや
御朱印とは、神社や仏閣に参拝して押してもらうハンコのこと。近年、ちょっとしたブームになっているらしく、地域の三十三観音などに入っていないうちのお寺でも頼まれることがある。書式に決まりがあるわけではなく、ご本尊の名前を書いたり、念仏のお題目を書いたりとさまざまである。
この御朱印集めをテーマにしたゲームがゲームマーケット2015秋で発表された。聖書コレクションシリーズが出たときは先を越されたと思ったが、何かと保守的な仏教界からもこのような試みが生まれたことを喜んでいる。制作は東京・深川の臨済宗寺院。そのため仏教の専門知識に裏付けられた作品になっているだけでなく、御朱印帳カバーなどコンポーネントも専門業者を使って凝りに凝っている。
システムはシンプルな競りゲームである。御朱印カードの山札から1枚めくり、手持ちの写経チップを出して競りをする。一番長い写経チップを出した人が御朱印を競り落とし、自分の御朱印帳へ。これを御朱印カードの山札がなくなるまで続け、得点計算を行う。
獲得した御朱印は1枚1点。ただしときどき入っている黒い御朱印は1枚5点で、はずれ(「冷し中華はじめました」など)は-1点になる。その上で、組み合わせによって「役」が出来上がる。
釈迦、文殊、普賢で「シャカサンゾン」、阿弥陀、勢至、聖観音で「アミダサンゾン」は基本。これは本尊が釈迦如来の場合(禅宗寺院)は両脇に文殊菩薩と普賢菩薩が祀られ、阿弥陀如来の場合(浄土宗寺院)には勢至菩薩と聖観音菩薩が祀られるというお寺の決まりから来ている。
順番が重要な役もある。大日如来の両どなりに同じ種類の仏さま(如来か観音か菩薩)があればできる「マンダラ」、はずれカードが3連続すると発生する「ブタサン」など。はずれカードを取ってしまっても復活できる。
4人プレイと3人プレイで1回ずつ。役が狙いにくいシステムになっているものの、それが却って役ができたときの嬉しさにつながっていて、ありがたみが増す。競りに使う写経チップは4種類しかないので、相場観などの難しい要素はなく直感的に遊べる作品である。
御朱印あつめ
向井真人/ようがくじ「不二の会」(2015年)
3~4人用/10歳以上/30分