万死一生の達成感
ファンタジー世界の勇者たちが絶体絶命の危機から世界を救うドイツの協力ゲーム。今年のドイツ年間エキスパートゲーム大賞に選ばれ、日本語版がまもなく発売される。
プレイヤーは戦士、射手、魔法使い、ドワーフのいずれかの勇者となる。次々と湧いては城に向かって攻めこんでくる敵から城を守り、アイテムを探し、与えられたミッションを達成し、ボスキャラを倒すことを目指す。限られた時間の中で達成するには協力が欠かせない。
「俺はこいつを倒しておくから、その間にお前はアイテムを探してくれ!」
「この強敵は俺一人で倒せない。一緒に戦ってくれ!」
このゲームには、準備の方法が書かれた「チュートリアル」と、ゲーム中に分からなくなったときに読む「参照用ルールブック」しか付いていない。ゲームは「物語カード」を順番に読むことで進んでいく。イベントや勝利条件は、ゲームを進める中で徐々に明らかになっていくという仕掛けだ。そのおかげで長々とインストする必要もないし、ネタバレ感がないからワクワクした気持ちで臨むことができる。
手番には、自分の勇者を移動するか、同じマスにいる敵と戦闘するか、パスするかのいずれかを行う。いずれの場合も時間を消費し、その分だけ時間マーカーが進む。移動は1マス1時間、戦闘はダイスロール1回1時間、パスも1時間。持ち時間の範囲内であれば、1回の手番に何マスでも移動できるし、敵を倒すまで何回もダイスロールをしなければいけないこともある。アクションが終わったら時計回りに次の手番の人。こうして全員が持ち時間(原則として7時間)を使いきるまで何周か手番を行う(先に時間を使い果たした人は抜ける)。
全員が持ち時間を使いきったら1日の終わりとなり、イベントが1つ起こる(カード)。それから、盤上にいる敵が、お城に向かって1マスずつ前進してくる。このとき怖いのは、前のマスに敵がいると、そのマスを飛び越えて前進してくるところだ。敵が増えると、あっという間にお城までたどり着いてしまう。お城が征服されると敗北なので敵を倒しておかないといけないが、戦闘にばかり時間をかけていると、ミッションを達成する時間がどんどんなくなってしまう。このジレンマが焦りを生む。終盤にはあと何時間残っていて、その中で何をしなければならないのか、綿密な計算が必要だ(戦闘はダイスなので計算通りに行かないこともあるが、そこは時間に余裕をもってリスクヘッジしておく)。
勝利条件は、シナリオによって異なる。「伝説1:勇者たちの到来」は城を守りつつ、指定された場所にメッセージを届けること。ネタバレになるので詳細は書かないが、その後のシナリオでは魔女を探し出したり、宝石を集めたり、ドラゴンを倒したりといったミッションが待っている。
4人プレイで私の勇者は女魔法使いのエアラ(男女は好きな方を選べる)。ダイスロールが常に4以上になるという強者で、戦闘に活躍した。敵を倒すとお金か意志力(HP)をもらえ、お金は基礎攻撃力を上げるのに必要なので調子に乗ってどんどん敵を倒していたら、伝説1のメッセージを届けるというミッションを達成できずに敗北。チュートリアルのはずなのに意外に難しく、この冒険の厳しさを教えられる。
これに学んで伝説2に挑戦。射手のnagaさんとドワーフの神尾さんが協力して敵を倒す間に戦士のcarlさんがアイテムを集めていった。明日お城が敵に征服されるというタイミングでミッションをクリアして成功。運(イベントカードやタイルのめくり運)に助けられたところも多く、薄氷を踏む思いだった。
ゲーム中は作戦会議が欠かせない。分担して進めていても、雑魚キャラに手こずったり、アイテム探しが難航したりしたときのフォローが必要になる。絶体絶命のように見えても、みんなで考えれば解決口が見えてくるもので(いくつかのミッションを同時進行しているので連携が大切である)、協力ゲームの面白さを堪能することができた。シナリオを5つクリアした後は、自作もできるし、次のシナリオも早速発売される。
Die Legenden von Andor
M.メンツェル/コスモス(2012年)/アークライト(2013年)
1~4人/10歳以上/60~90分
・アークライトゲームズ:アンドールの伝説
・moon Gamer:アンドールの伝説
・ふうかのボードゲーム日記:アンドールの伝説(1) (2) (3) (4) (5)
攻撃力1の時点で、イベントカードによって意志力を0以下にされたらどうすればいいんですかね?