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これぞクニツィアゲーム

ボードゲーム情報誌『GameLink』の最新号付録は、クニツィアのゲームが3つも付いている。その中の1つ。もとはドイツの情報誌シュピールボックスの付録で、製品化されたことはない。そんな幻のゲームを遊べて幸せである。しかもその内容たるや、クニツィアのエッセンを凝縮したようなジレンマたっぷりのゲームである。近頃のクニツィアはキレがないと思っている方にはぜひ遊んでほしい。
ボードは7つのエリアに分かれ、順番に影響力チップを置く。最後にそれぞれのエリアで
影響力の大きい順に得点があり、合計の多い人が勝ちという、エリアマジョリティのゲーム。
ジレンマたっぷりになるポイントは3つある。1つ目は、同じエリアにチップを何枚置いてもよいこと。1〜5の数字が書かれた影響力チップは各自10枚。どこかにたくさん置けば、ほかのエリアに置く分がなくなる。満遍なく散らしておくか、2〜3箇所に集中しておくか。
2つ目は、1度置いたエリアにはもう置けないというルール。つまり一発ビッドである。当然、後から置くほうが、前の人のビッドを見てから決められるので有利だが、それはみんなが考えていること。チップがなくなるまでパスはできない。さあ、どこから置くか。
3つ目は、盤上を移動する「×2」と「×0」のマーカー。「×2」が最後にあるエリアは得点2倍、「×0」は全員0点となる。このマーカーが動くのは、そのエリアにチップが置かれたときである。このマーカーのコントロールが非常に難しい。
いずれもちょっとしたルールなのだが、3つ一緒になることでものすごい駆け引きとジレンマを生む。他の人は、どのエリアを狙っているのか。自分はどのエリアを取れそうか。終盤はどうしても詰将棋のようになってしまうが、プレイヤーは複数いるので容易には読めない。
今回、あえて中盤から先手を打ってたくさんチップを出してみた。不利なように見えて、ほかのプレイヤーが潰し合うと漁夫の利が転がってくる。結局「×2」と「×0」が同じエリアで終わり、そのボーナスとダメージはなくなったが、それでも中盤まで目立たないようにしていたtomokさんが大量得点して1位。
90年代のドイツゲームは、こんな風にシンプルで悩ましいゲームが多かったように思う。それがいつの間にか、イベントカードや特殊能力カードで複雑になったのも、外国のゲームに押されがちな一因だろう。リメイクでも、このようなゲームをもっと売りだしてほしい。
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R.クニツィア/シュピールボックス−アークライト(1993/2010年)
3〜5人用/10歳以上/30分
アマゾン:Game Link Vol.4

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