2009年度の各国のゲーム賞状況をまとめたところ(ボードゲーム各賞受賞2009)、『ドミニオン』より評価されたゲームが予想より多かった。『ドミニオン』はドイツ年間ゲーム大賞、ドイツゲーム賞、アラカルトカードゲーム賞の3冠を達成しているが、不思議なことにドイツ以外のゲーム賞はノミネートや入賞止まり。大賞や1位に選んだのはフィンランドしかない(日本は投票中なので、まだこれからだが)。お国柄だろうか、それとも『マジック:ザ・ギャザリング』ぐらい従来のゲームとはかけ離れた印象をもたれたのか。
では、『ドミニオン』より評価されたゲームとは何だったかというと、まず『ディクシット(Dixit)』である。もともとフランスのゲームだが、フランス年間ゲーム大賞、スペイン年間ゲーム大賞、フランストリックトラック賞3位(『ドミニオン』は4位)という高い評価を得ている。絵のイメージを言葉にして、できるだけ少数の人しか分からないように伝えるというユニークなコミュニケーションゲーム。ルールが至極簡単なので年齢やプレイ経験を問わず勧められ、また美しいイラストも楽しめるのはすごい。追加イラストを加えた『ディクシット2』も発売予定になっているようだ。国内の評判はこちら。
次は『スモールワールド』。これもフランスのゲームだが、国際企業であるデイズ・オブ・ワンダー社から発売され、アメリカのゲーム100選で大賞、フランスのトリックトラック賞で1位に選ばれている。フェデュッティのマイゲーム大賞も獲得した。内容は能力の異なるファンタジーの種族を次々に変えて戦闘を繰り広げる戦争ゲームである。ドイツでは年間ゲーム大賞が完全に無視し、ドイツゲーム賞も5位止まりとなっていて、国によってこうもはっきり評価が分かれるものかと驚く。日本語版になってもなお遊びにくいという人が多い日本での評価はこちら。
そして『ルアーブル』。フランスを舞台にしているが、ドイツのゲームである。いろんな能力を持った建物を建てて資産を増やす拡大生産系のボードゲーム。ドイツゲーム賞では2位だったものの、1位の『ドミニオン』とは倍近くポイントの差がついている。評価したのは英語圏の選者が多い国際ゲーマーズ賞で大賞、フランスのトリックトラック賞で『スモールワールド』に次ぐ2位。日本語版は『アグリコラ泥沼』などの新作に押されて発売が遅れている模様だ。
そのほか、オランダゲーム賞は1〜3位が『アグリコラ』、『パンデミック』、『ストーンエイジ』(4位が『ドミニオン』)で、オーストリアゲーム大賞はレゴゲームの『ラムセスのピラミッド』を大賞に選んでいる。
以上を見ると、アメリカのゲームである『ドミニオン』を含め、ドイツゲームが少ないのが今年の特徴である。ドイツゲーム賞ですら、外国のゲームが10位以内に4タイトルも入っている。面白いゲームはどこの国のものであってもすぐ世界中に広まり、そうでないものはすぐに埋もれてしまう。ドイツの大手メーカーであっても安泰ではない。