カスカディア(Cascadia)

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ダブルレイヤーパズル

太平洋沿岸のアメリカ北西部を舞台に、クマ、シカ、サケ、ワシ、キツネに住みよい土地を用意するアメリカのタイル配置ゲーム。コスモス社から発売されたドイツ語版がドイツ年間ゲーム大賞にノミネートされ、下馬評はダントツに高い。ゴールデンギーク賞のライトクラス大賞、ミープルチョイス賞にも選ばれている。ドイツ年間ゲーム大賞の審査員は「一度プレイしたらもう一度プレイしたくなる」「全てがきちんと整っている」と高い評価だ。

袋からランダムに引いたタイルと動物コマのセットを人数分並べて、その中から1セット選ぶ。ほしいタイルと動物は確かあるが、自然トークン(まつぼっくり)で好きな組み合わせにしたり、動物を交換したりできるのと、次のプレイヤーの手番の前に補充されるのとで、ヘイトドラフト(他のプレイヤーが欲しいタイルを取る)はあまり発生しない(むしろ補充のときに欲しいタイルが引けるかが重要である)。

タイルには地形が描かれており、同じ地形が長くつながっているほど得点が高い。一方、動物は置ける場所がタイルで指定されており、ゲームのはじめに決められたパターンを作ると得点になる(写真の場合はタカが孤立したシングル、サケがラインの長さ、クマが孤立したペア)。どのセットを取って、どこに置けば得点が最大化されるのかでパズル的な思考が求められるが、地形がどんどん拡大していくので手詰まり感はない。うまく行かなければ、地形を広げて新しい得点パターンを作れる。

タイルがなくなったら終了で、地形と動物の合計点を計算する。地形と動物が5種類ずつあってひとつひとつ計算していくので暗算は難しく、専用の得点計算用紙が付いている。ゲームの進行に比して最後のこの部分はお手軽でないが、最後まで誰が勝っているかわからずゲームに集中できる。

動物の得点パターンは中期的な計画を求められる。例えばサケのラインの長さでは、途中で切れないようにルートを空けておいたほうがよいし、クマのペアを作ってから次のペアを作るか、2~3か所同時進行するか考えなくてはならない。相互参照で1枚の動物タイルが複数の得点パターンに絡むこともあり、考え始めればきりがない。しかし地形を長くつなぐという目標があることでタイルの置き場所に指針があり、その分選択肢が少なくなっているのはクレバーなデザインだと思う。

自然トークンの獲得と使用、場に同じ動物が多く並んだときの処理など、『ジャストワン』『ピクチャーズ』『ミクロマクロ』と来たドイツ年間ゲーム大賞の流れからすると難易度は高いが、その前には『アズール』もあるので、大賞に選ばれる可能性はかなり高いのではないだろうか。発表は今月16日。

Cascadia
ゲームデザイン:R.フリン/イラスト・B.ソーベル
フラットアウトゲームズ+AEG+ケンビル(2021-2022年)
1~4人用/10歳以上/30~45分

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