遊び心いっぱいのカード効果
自分の鳥獣保護区にいろいろな鳥をたくさん集めるバードコレクションゲーム。アメリカの女性デザイナーの作品で、ストーンマイアーゲームズ(アメリカ)から今春発売され、フォイヤーラントシュピーレによるドイツ語版がドイツ年間エキスパートゲーム大賞とドイツゲーム賞をダブル受賞している。
全部が異なる170種類の鳥カードにはさまざまな特殊効果があり、自分のプレイヤーボードに並べてそのコンボを楽しむというのが、このゲームの基本的な楽しさである。
手番にはアクションコマを1個消費して、餌を獲得するか、卵を取るか、餌や卵を支払って手札の鳥カードをプレイヤーボードに配置するか、山札か場札から手札に鳥カードを補充する。
プレイヤーボードは森林、草原、湿地に分かれており、鳥カードの置ける場所(生息領域)が決まっている。餌を獲得すると森林、卵を取ると草原、鳥カードを補充すると湿地の列の鳥カードが右から順に発動する。鳥カードを追加するほど、効果が累積し、1アクションでできることが増えていく。
カードの効果は餌、卵、手札の鳥カードを増やすもののほか、山札や手札の鳥を捕食して得点にしたり、餌を蓄えて得点にしたりするもの、ほかのプレイヤーのアクションに連動して得をするものなどがある。
とりわけこのゲームの特徴だと思われるのは、ほかのプレイヤーも得するアクションの存在だ。みんなに餌をばらまいたり、卵を増やしたりする。「もう1つ餌があればこの鳥カードが出せるのに……」などと思っていたら前のプレイヤーのアクションで餌が降ってきたときの嬉しさ!
共存共栄ばかりではなく、競争もしっかり用意されている。各ラウンドの最後に、「草原にいる鳥の数」「平地の巣にある卵の数」など、予め発表されていた条件で順位を決め、得点が入る。ラウンド終盤は、この条件を達成するための調整もしなければならず、アクション数は足りないくらいだ。
ゲーム終了時には、鳥カードの点数、各ラウンドでの点数、自分だけのボーナス条件(ゲームの最初に配られ、ゲーム中に追加もできる)による点数、捕食した鳥や蓄えた餌による点数を合計して勝敗を決める。全部頑張るのは難しい。どこに重点をおいて、どこをほどほどにするかという取捨選択が悩ましい。
タイトルになっている翼の長さを参照するカードもあったり(小さな鳥は捕食できたり、大きい鳥がボーナス点になったり)して、随所に遊び心いっぱい。システムに目新しさはないが、幸せになれるカードの特殊効果がゲームを魅力的なものにしている。
Wingspan
ゲームデザイン・E.ハーグレイヴ
イラスト・A.M.M.ハラミヨ&N.ロハス&B.ソーベル
ストーンマイアー(2019年)+アークライト(2019年)
1~5人用/10歳以上/40~70分