心の中で叫ぶ「ちげーよ!」
美術館員が画家に発注した絵を、贋作家のベルラッティが適当に混ぜ込んだ中から見つけ出す協力ゲーム。今年のエッセン・シュピールで行われたスカウトアクションでノーマークから1位になり、「フェアプレイのサプライズ」と呼ばれている作品である。
出展3年目となるモーゲル出版(ドイツ)は今回、ガレリアという半屋外の通路にブースを構えていたが、ホール内よりも明らかに人通りが多く、息抜きに遊んでいった人が多かったのかもしれない。内容的には今年のヒッポダイス・ゲームデザイナーコンテストで1位という折り紙付きで、後はマイナーな出版社がどれくらい遊んでもらえるかが勝負だった。
ベルラッティ役のプレイヤーはおらず、プレイヤーは美術館員役か画家役を交替で行う。まずカード2枚をめくって今回のお題が発表される。それを見て美術館員役が何枚発注するかを相談。このとき、お題の内容について語ってはならず、難しそうか簡単そうかなどで枚数を決める。
これを承けて画家役は、お題に当てはまると思われる絵を手札から出す。このときもお題の内容について語ってはならず、どれくらいお題に合うかのみ。自信があるという人から出していく。そこに山札からカード4枚を混ぜ込み、表にして再び美術館役の出番。画家役が出したものか、山札から出た贋作かを相談して判別していく。
答え合わせでテーマまで合っていれば全員に1点、贋作を選んでしまったらベルラッティに1点が入る。6回ミスする(誤ってベルラッティの絵を選んでしまう)前に、どれくらい画家が描いた絵を選び出せるかで成績が決まる。
カードの絵はサッカーボール、羽根、テント、ハンマーなどで、お題の絵とどう関連付けるかはプレイヤーの恣意。画家役がどのような意図でどの絵を出したか、プレイヤーの性格も踏まえて考えなければならない。「これは形が似ているから選んだのか、それとも材質? もしかしたらダジャレかもしれない……」美術館役があれやこれや相談している間、画家役は一切表情にも出してはいけない。そんなとき心の中で叫ぶ「ちげーよ!」(涙)
1回目は13点ぐらいで失敗。2回目は少し慎重になって発注枚数を絞り込み、20点を達成。あれやこれや相談した末に、自分が意図した通りに絵を仕分けてもらえたときの嬉しさは本当に気持ちいい。失敗しても、なぜその絵を選んだのか聞き出すと、なるほどと思うことから「そんな分かるわけねー!」とツッコむことまでサプライズが待っている。言葉を超えた連想力が楽しめる作品だ。
Belratti
ゲームデザイン・M.ロート/イラスト・A.エールディヒ、M.パツコウスキ
モーゲル出版(2018年)
3~7人用/9歳以上/20~45分