第2回ゲームマーケット大賞で優秀作品に選ばれた5人のデザイナーのみなさん
12月11日、東京ビッグサイト東7・8ホールにて、国内最大のアナログゲームイベント「ゲームマーケット2016秋」が開催された。参加者数の発表はまだだが、5月に行われたゲームマーケット2016春の11000人を超えたとみられる。
最高気温が10度を下回る寒空の中、2500人(開場時)が待機。会場となる東7・8ホールは東棟の一番奥に増設された新ホールのため、そこまでの長い通路に待機列が形成された。午前10時の開場時には、海が見える広い搬入口からの入場となったため、待機列はいったん外へ。
搬入口からの入場待機列
開場はとても広く余裕があったが、一般ブースが密集しているエリアでは混雑していた。通過するのに時間がかかり、どのブースも人だかりができているため漫然と見ることができない。539団体が出展しているのに、与えられた時間は420分のみ。事前にチェックしてきたもの以外を見ることは難しい状況である。
阿曽山大噴火氏といけだてつや氏も来場
新作のチェックや予約の受け取りなどをしているうちに午前12時からのゲームマーケット大賞の発表となった。管理人も審査員をしているのでこれに立ち会うことに。
先月発表されていた優秀作品5タイトルの表彰と、各デザイナーからのコメントがあり、その後に特別賞として『アニュビスの仮面』(ギフトテンインダストリ)が表彰された。アナログゲームとは一線を画すものでありながら、今後の可能性を開いたという受賞理由が、草場純・審査委員長から発表された。
『アニュビスの仮面』で特別賞を受賞した濱田隆史氏
そしていよいよ本日発表の大賞である。くす玉が割られ、バズーカクラッカーが鳴って、大賞に発表されたのは『ビンジョー×コウジョー』。工場のラインを設計して製品を作るボードゲームで、ルールが分かりにくいという問題はあったものの、ほかのプレイヤーが製造したものに便乗できるルールが高く評価されたという。
草場純・審査委員長から賞状を受け取るすまいる120円氏
今回は出展せず、この授賞式のために京都から駆け付けたすまいる120円氏に受賞インタビュー。
TGiW:おめでとうございます。
すまいる:ありがとうございます。
TGiW:何回目の出展でしたか?
すまいる:去年の春に初出展で『ススムカモドルカ』を出し、今年の神戸で2作目でした。
TGiW:どういうサークルなんですか?
すまいる:デザインに関しては僕一人で、メンバーはいつもテストプレイに付き合ってくれる友達ですが、できたものだけテストプレイしてもらうって感じで。
TGiW:このゲームはどういう風にして思いついたんですか?
すまいる:一作目の『ススムカモドルカ』のときに語呂がきいた感じのタイトルが面白いなって。要するにダジャレですけど、いい感じに異質なものが合わさるというので、面白いなっていろいろ思いついた中でこれが出てきたんです。
TGiW:まさかのタイトルからなんですか?!
すまいる:いっぱいネタを作ってよかったのを出すという感じです。
TGiW:システムのほうはどうやって?
すまいる:まず頭の中で何をしたら楽しいかなってぼんやり考えて、「便乗!」って手を挙げている姿だけだったんです。この姿を生み出すにはどういうシステムが必要かって考えていった結果できたのがこれです。
TGiW:外堀からいきますねえ。では工場というのはどこから?
すまいる:そのときマインクラフトの工業modにはまっていて、こういう自動生産って楽しいなってのがあって、その楽しさをどうやったら表現できるかなって。
TGiW:このたびクラウドファンディングを行っていますが?
すまいる:在庫がなくなって、(ゲームマーケット大賞で)優秀賞が決まった段階からスタートしました。優秀賞をもらったことで保証されたというか、買う側でも安心感が出たかなと思いまして。今来てる分で100部ぐらいです。
TGiW:いつまででしたっけ?
すまいる:12月13日までです。大賞を一応見てから締められるようにしておこうと何となく思っていたんですがまさか大賞を取るとは(笑)。
TGiW:今後のご予定は?
すまいる:次の神戸に出します。ざっくりテーマとかシステムとか決まってるんですけど・・・
TGiW:またタイトルからですか?
すまいる:タイトルから決めてたんですけど、タイトルとやりたいことが変わってきて今回はダジャレじゃないかもしれません。
TGiW:それはそれで楽しみです。普段はどのような感じのゲームを遊んでいますか?
すまいる:割と重たい感じのゲームをしています。『シヴィライゼーション』とか、『祈り働け』とか。『祈り働け』がすごく好きなんですけど、長いって友達があんまり遊んでくれません。
TGiW:『アグリコラ』とか『ルアーブル』を飛ばして『祈り働け』とは、要素の複雑なゲームが好きなんですね。ありがとうございました。
というわけで、第2回ゲームマーケット大賞『ビンジョー×コウジョー』を入手したい方はこちらへ。
・CAMPFIRE:ゲムマ2016優秀賞!ビンジョー×コウジョーを増産したい!
さて、ゲームマーケット大賞の授賞式が終わると、いくつかのゲームを試遊。全部のサークルを回るのはもとから諦めていたので、割とのんびりと遊ぶことができた。
『死ぬまでピラミッド(オインクゲームズ)』は、ダイスを振って出た目のパーツを取り、ピラミッドを作っていくタイル配置ゲーム。正方形のタイルがなくなるとゲームが終わり、それまでに完成していないと0点になってしまうため、どこで形を整えていくかが悩ましい。
『リカーーーリング(賽苑)』は、より強いカードを出していって手札を早くなくし得点を競うカードゲーム。カードを出したときに、前に出されていたカードを手札に回収する仕組みで、手札をうまく整理していくことがポイントになる。でもあまりきれいにまとめようとすると勝てないという痺れるゲームだった。
『ジャングリラ(OKAZU Brand)』はダイスを振ってパトロンのサポートを得ながらジャングルを探険するゲーム。資源を集めてパトロンを多く取るか、さっさと遺跡を目指して掘るかの選択があり、考えどころの多いゲームである。
ほかにもたくさん購入したゲームがあるので、順次プレイしていきたいと思う。
今年のエッセン・シュピールが、トレンドがないのがトレンドといわれたように、ゲームマーケットもどんどん広がって、同じような状態になっていると思う。主流である創作ゲームも、ライトからエキスパート、2人用から多人数用、ドイツテイストからアメリカンテイストまで数多くの新作が出展された。その全てを網羅することなどできないし、する必要もなくなってきている。自分が好みのジャンルを定めれば、そのジャンルに属する面白いゲームはきっと見つかる。問題はその「自分の好みのジャンルはこれだ」という羅針盤が、この茫洋たる新作ボードゲームの海を渡るのに必要になってきたといえるのではないだろうか。
「リカーーーニング」ではなく、「リカーーーリング」です。
手札を早くなくすゲームではありません。