縦横上手に都市計画
施設を並べてローマ帝国の都市を作るタイル配置ゲーム。OKAZU Brandがゲームマーケット2015春に発表した作品で、当サイトの新作評価アンケートで2位になっている。タイルを縦横一列に並べて一気に発動させるシステムが面白い。
毎ラウンド、施設タイルが全員の前に並べられている。この中から1枚を選び、建設コストを支払って自分の都市に加えていく。施設には資材が手に入る「生産施設」、手持ちの資材に応じて収入が入る「商業施設」、都市の文化レベルを上げる「文化施設」、資材を軍事力に換える「軍事施設」、さまざまな効果をもつ「特殊施設」があり、どの要素に力を入れ、どういうコンボを作っていくかが考えどころとなっている。
これらの施設の多くは、配置しただけでは使えない。「住宅」を建てると、そこから見て縦か横に一方向に並んでいる施設が全部発動するのだ。資材が手に入り、その資材が収入になり、資材を軍事力に換え……これまでの計画が実るときだ。
施設はできるだけ増やしてから、一気に使ったほうがよい。しかし使わないままだと、資材や収入が手に入らないので新しい施設が入手しにくくなっていく。資材が少なくなっていくのを我慢して施設を増やすか、早めに使って資材を手に入れ選択の幅を増やすかも悩ましい。
住宅の建設によって発動する施設は、別の住宅に到着するまでとなっているため、ひとつの列は、両端に住宅を置くと(2回使うと)もう使えなくなる。そこで今度は縦に施設を並べ、別の方向から施設を発動させなければならない。こうしてクロスワードのような都市ができあがる。
最終的に得点になるのは「神殿」である。「周囲8マスにある商業施設1軒につき3点」「最後に残った石材1個につき2点」などの条件があり、これが各プレイヤーの戦略となっていく。建設コストは高いが、できるだけ早いうちに建設して方針を決めておきたい。
こうして場にある施設・神殿・住宅を配置していき、全員がパスをしたら、お金か軍事力を支払って「補佐官チップ」を獲得できる。これは一度使った住宅を再利用できる強力なチップで、列を長く伸ばすのに役立つ。そしてラウンドの最後に軍事力を比べ、上位に得点が入る。6ラウンドでゲーム終了。
4人プレイで90分。資材を節約し、補佐官チップを使って長い列を作ったcarlさんが1位。縦横にこまめに使い分けた神尾さんが最下位で、列の長さが勝敗を分けた結果となったが、carlさんは資材のやり繰り上手で、いいタイルを効果的に集めたのが勝因のようだ。
効果を一度に発動したり、神殿で得点化したりするのは『デウス』と軌を一にするが、タイルを縦横に並べていくパズル感覚が楽しく(どこまで広がるか分からないので床推奨)、また施設の先取りだけでなく、文化マークや軍事力の競争もあって適度なインタラクションもある。遊びごたえたっぷりの本格的なボードゲームである。
Minerva
林尚志/OKAZU Brand(2015年)
1~4人用/10歳以上/60~90分