ずるいキャラクターたち
13世紀に24年かけて15000㎞を旅し、『東方見聞録』を著したマルコ・ポーロ(1254-1324)の仲間となって、イタリアから中国に至る数ルートをたどり、交易品を集めたり、たくさんの都市を訪れたりして手柄を立てるボードゲーム。『ツォルキン:マヤ神聖暦』のデザイナーコンビが今年リリースし、ドイツ年間エキスパートゲーム大賞の推薦リストに選ばれるなど高い評価を得ている。ダイスを配置してアクションを行う「ダイス・プレイスメント」がメインだが、各プレイヤーに最初から与えられている特殊能力が半端ない。
全員がダイスを振り、順番に配置してアクションを行う。アクションは6つあり、それぞれ必要なダイス個数や出目が異なる。通常のワーカープレイスメントと比べて、空いているスペースがあるからといっても、よいダイス目がなければそのアクションができない。
一方、ほかの人がすでにダイスを置いてしまったアクションでも、ダイス目分だけお金を支払えば置くことができる。そのため出目が大きければ大きいほどよいというわけでもないが、アクションによっては大きな出目を必要とするところもある。小さい目から大きい目まで一揃いあるほうが選択が楽である。
アクションは収入を得る、市場で商品やラクダを得る、契約カードを得る、移動するの4つがメイン。得点に結びつくのは主に、契約カードに指定された商品やラクダを揃えるか、移動して目的カードに指定された都市をできるだけ多く回ることである。どちらかに特化すればいいわけではなく、ほかのアクションをうまく組み合わせて両立させなければ勝つことができないだろう。
通常のアクションのほかに、ラクダを支払ってダイスを振り直したり出目を上下したり、ダイスを増やしたりすることもできる。ここぞというところで使いたい。
ここまではオーソドックスな作りで、ダイス・プレイスメントも『トロワ』(2010年)という作品がすでにある。この作品の新しいところは、最初に各プレイヤーに配られるキャラクターカードである。これが信じられないくらいに強い。
シーア派の指導者ラシード・ウッディーン・スィナーンは何と、ダイスを振らない。置くときに好きな目にすることができる。マルコ・ポーロの叔父マテオ・ポーロはダイス1個と毎回契約がもらえ、クビライの兄ベルケ・ハーンはダイスを置くときお金を払わなくてよい。クビライ・ハーンに至っては、目的地である北京に、最初からいる。これらのキャラクターに沿って戦略を組み立てたい。
3人プレイで2時間ほど。私はマテオ・ポーロでコツコツ契約を達成していたが、商品を集めるのに力を入れすぎて旅行がおろそかになり最下位。聞くところではマテオ・ポーロはプレイが結構難しいという。勝者はベルケ・ハーンを駆使してヴェネツィアから北京を往復したcarlさん。このキャラクターだったら次はこうしようというのがそれぞれのキャラクターについて考えてしまう、研究しがいのある作品である。
Auf den Spuren von Marco Polo
S.ルキアーニ、D.タスキーニ/ハンス・イム・グリュック(2015年)
2~4人用/12歳以上/40~100分
他の人が置いてしまったアクションでも、それより大きいダイス目であれば
とありますが、ダイス目は自由だと思います。
皇帝のところだけ置かれているダイス目以上という条件があるかと。