砂紋と石を熟知して
砂紋と石の配置で美しい禅庭を作るゲーム。2013年に東京ドイツゲーム賞を受賞し、1年以上かかってようやく製品版が発売された。さまざまな得点パターンを組み合わせて、高得点を狙う。
マイボードは3×5マスの庭園になっている。手番には砂紋タイルを引いて、できるだけ絵柄がつながるように配置し、「徳」をためて石を設置する。これを庭園に砂紋タイルが敷き詰められるまで行う。プレイ感としては『カルカソンヌ』に一手間足したぐらいの軽さである(カウンティングをすれば考えることは増える)。砂紋タイルのつながり方と、石の並び方で得点が入り、その合計点を競う。
砂紋タイルは真っ直ぐから円状のもの、さらに苔が入っているものまであり、絵柄を合わせておくのは容易ではない。絵柄が合っていなくてもよいが、合っていないところ1ヶ所につき2点の減点となってしまう。そこで引いたタイルは自分のボードに配置するだけでなく、他人に譲渡したり、廃棄したり、後手番で置くように保管したりできる。また、ほかのプレイヤーが自分のほしいタイルを引いたときには強奪もできる。こうしたアクションを使って絵柄をうまく揃えていく。
譲渡、廃棄、強奪では「徳」が増減する。この「徳」は通常、1手番に1点ずつしか上げられない上に、石を獲得するのにも必要なので好き放題できるわけではない。タイルの処理が終わったら、「座禅」で徳を1点上げるか、禅僧駒を移動して石を置ける場所を変えるか、貯まった徳で石を設置する。石は種類によって必要な徳が異なり、一番レアな「舟石」に至っては5以上も必要になる。平均すると2、3手番に1回、石が置ける計算だ。ゲーム中に設置できる石も限られてくる。せっかく徳を貯めたのに、ゲームが終わるまで石の設置が間に合わないことも(残った徳は得点になるので、石を置かないほうがよいこともある)。
ゲーム終了時の得点パターンは多岐にわたり、砂紋に関するものが5種類、石に関するものが8種類もある。どれを狙ってどれを諦めるか、どれとどれを組み合わせるかが考えどころだ。
- 砂紋に関するもの:苔のないタイルの最大長方形、苔タイル、一列の左右対称、渦の円または半円、つながっていないタイルの減点
- 石に関するもの:基礎点、桂馬置き、斜め置き、「蓬莱山」、「三尊石」、「臥石」、「舟石」、最初に配られる「名庭園カード」のパターン
3人プレイで45分。1ゲーム目は引いたタイルをほぼそのまま置いていたが、つながっていないタイルの減点で得点が伸び悩む。ゲーム終了が意外に早かったため、石を設置するタイミングも逸してしまった。そこでこれを踏まえて2ゲーム目に突入。タイルの並べ方と、石を設置するタイミングについては、やりこみ要素があるようだ。得点方法もだんだん分かってきて、難しそうなものは無理に狙わず、着実な得点を重ねることを心がけた。とはいえタイルの引きが冴えまくっていたtomokさんが減点を最小限に抑えて連勝。
つながるようなタイルが引けるかという運の要素と、徳をコントロールして石を設置していく戦略性のバランスがとれた作品である。1つ1つ塗装された石のコマの出来上がりも素晴らしく、ゲーム終了時に自分の石庭を見ると大きな満足感が得られる。
枯山水
山田空太/ニューゲームズオーダー(2014年)
2~4人用/10歳以上/60~90分