名古屋駅から地下鉄を乗り継いで20分、黒川駅から徒歩10分。名古屋城から3kmほどの市街地の中に、ゲームストア・バネストがある。独自輸入も手がけるボードゲーム専門店として15年。新旧作問わず年間1000タイトルほどを扱う。ほかでは手に入らないゲームと圧倒的な品揃えで、名古屋周辺だけでなく全国の愛好者にその存在感を示してきた。名古屋ボードゲームフリーマーケットの前日、訪問して中野将之店長にお話をお聞きした。
次の日、名古屋テレビの取材でお笑い芸人のロバートがやってくるというので少し模様替えしたという店内。以前は倉庫のような感じだったが、広々として店内で遊べるようにもなっていた。通販も多いが、地元の愛好者や出張などで名古屋に来た愛好者が立ち寄り、土日は店内がいっぱいになることもあるという。近年目立つのがファミリーやカップルの来訪で、「名古屋 ボードゲーム」で検索して見つけるのだそうだ。
中野店長は開店時から、スポーツショップをイメージしていた(店長は大の自転車レース好きである)。スポーツショップでは、初心者にいきなりハイスペックなものを勧めることはない。負荷を考え、人に合わせて徐々にグレードアップしていく。同様に、訪れた人の経験に合わせて、ぴったりのボードゲームをコーディネートし、慣れてきたら、徐々に難しめへと変えていく。初めてのカップルには『ガイスター』や『バックギャモン』、ファミリーには『カルカソンヌ』や『ドミニオン』を勧めることが多いというが、もちろん訪れた人の話をしっかり聞いた上でのことだ。下調べしないで気軽に買いにいけるのが実店舗のメリットである。
そんなふうにして地道に営業してきたが、一昨年は他店による価格破壊や、開発の甘い同人作品の増加、「ボードゲームはおしゃれであるべきか」論争などがあって悩んだ時期もあった。しかし1年経って、「オレはオレだ」と思い直す。ボードゲームに興味をもつ人をサポートし、趣味に対してちゃんとアプローチできる店を目指す。そんな決意を新たにしたという。自らもゲーマーである中野店長の逡巡には、かえって信頼感がもてる。
開店15周年を迎える今年、懇意にしている出版社dVジョーキ(イタリア)と、通販専門店ジョイゲームズ(東京)、日本の出版社コザイク(神戸)の協力を得て、初めてオリジナル作品をリリースすることにしている。『80日間世界一周』をテーマにした旅行ゲームで、早ければ3月のゲームマーケット大阪で試作品を発表できる見込みだ。昨年のシュピールではズィーマンゲームズ(カナダ)のZ.シュレーシンガー氏と会談し、情報交換してきたという中野店長。国際的にも知られるボードゲームの目利きのお店は、今日も名古屋で元気に営業中だ。
ゲームストア・バネスト
〒462-0058 愛知県名古屋市北区西志賀町4−15
電話:052-910-0025
営業時間:平日12:00-21:00、土日祝12:00-18:00、木休
ホームページ:http://banesto.shop6.makeshop.jp/
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