交易品が品切れる前に
現在、ウズベク共和国の首都になっている古都タシュケント。サマルカンドと並んでシルクロードの要衝として栄えた街である。ここで品物を仕入れ、その売上で交易品を手に入れて、富を競うゲーム。作者のP.ジルフェスターは1974年生まれのドイツ人デザイナーで、『シンガポールの商人』『ティンダハン』などの作品がある。
中央に並んでいるのが交易品カード。どんどん取られると後の人の分がなくなる
手番の行動の基本は、擬似ロンデルシステムである。キャラバンに並んだ7頭のラクダを移動して、移動先のアクションを行う。1回の移動は3マスまで無料で、それ以上は1マスにつき1金。さらに止まったマスにほかのプレイヤーのコマがあれば追加料金が発生する。ロンデルと違って、円環でないので、端から端に移動するのはたいへん。
アクションはスタートプレイヤー、アクションカード、鉄、インディゴ(2ヶ所)、ヒスイ、交易所コマの7つ。これを手番中に2回まで行なって、商品を売る準備を整える。ほかの人がどの品物を仕入れているかよく観察して、売るチャンスを見計らおう。
全員が手番を行ったら1ラウンド終了で、ダイス目により2~4ラウンドを行う。いつ終わるか分からない中で、どこまで準備が間に合うか賭けである。
その後に行われるのは、仕入れた品物を売る交易フェイズである。キャラバンの反対側に8ヶ所のエリアがあり、ここを順番に解決する。各エリアでは、スタートプレイヤーから手持ちの品物を1つずつ受け取って収入を得る。売るためには、そのエリアに交易所と、かつ品物を置く小屋が必要である。小屋には同じ品物が置けないため、ほかのプレイヤーと品物がかぶると販売できないことがある。さらに、販売するとお金か交易品カードがもらえるが、交易品カードには限りがあるため、手番順だけでなくエリア順も考えなければならない。
これを繰り返して、キャラバンのラクダから商品が1種類なくなるか、アクションカードがなくなった後の交易フェイズで終了。交易品カードの組み合わせで得点を競うが、最後に待ち構えるのが「所持金の一番少ないプレイヤーは、交易品をいくらもっていても脱落」というルール。お金はついたての裏に隠し、キャラバンのアクションや交易所の設置で使うが、適度に残しておかなければならない。商品を売ったとき、お金をとるか交易品を取るか大いに迷う。
前半はお金、後半は交易品を狙うのがセオリーだと思ったが、交易品の種類を揃えるため前半から交易品に手を出す。そのためお金が足りなくて苦しく、アクションカードの効果でちびちび稼いだ。終盤間際に買い占めかと思う勢いで交易品を集め、ほかのプレイヤーに取らせなかった鴉さんの勝利。エリアの選択に思ったよりも深いアヤがあって、唸らせられた。
Taschkent
P.ジルフェスター/ミュッケシュピーレ(2012年)
2~4人用/8歳以上/60分
ゲームストア・バネストで取り扱い予定(ゲームマーケット2013春で販売済)