日常から大発明
「新しいアイデアは、既存の組み合わせでしかない(J.W.ヤング)」という。組み合わせられるものは、全く関係なければ意味不明だし、近すぎればありきたりとなる。絶妙なアイデアとはどんな組み合わせなのか、このゲームが教えてくれる。
『ビッグ・アイデア』は、それこそアイデア勝負でコンポーネントにお金をかけないメーカー、チーパス社(アメリカ)が2000年に発売したカードゲームである。今年、ファンフォージ社(フランス)がこれを豪華にリメイクし、アークライトが日本語版を発売した。ルールはフランスのメーカーらしく、徹底的にシンプルにしてパーティーゲーム用に仕立てたが、面白いと思ったアイデアに投資できるオリジナルのルールも、『ゲームリンク』11号に掲載されている。
「禅+クリップ」など、形容詞カード3枚と、名詞カード3枚が配られ、これを何枚でも自由に組み合わせて新製品を作る。そして順番に、自分が組み合わせた新製品をプレゼン。「このクリップは、坐禅のときにまぶたや耳にはさんで使います。最初は痛いですが、だんだん気持ちよくなってきます」
全員のプレゼンが終わった後、秘密投票を行う。いいね!と思ったものにメダル、残りはダミーの投票カードを置く。オープンして、得票数の最も少ない人が「挫折ポイント」。規定ラウンド行って、挫折ポイントの最も少ない人が勝つ。
最多投票を目指すのではなく、1票でももらえればまず安全なわけだが、だからといって無難な感じのアイデアを出せば誰からも投票してもらえない。最多投票を目指すのと同じようにインパクトのあるアイデアを考えなければならない。
tomokさんの「エキゾチック・エロティック・パラダイス」で大笑い。「何それ、行ってみて〜!」私は「フローズン+氷」がヒットした。「この氷はたいへん冷たく、ぬるいジュースなどに入れるととても美味しくなります」「ただの氷やんけ!」
プレゼンの話術が勝負かと思ったが、組み合わせの段階でもう勝敗がつくようなこともある。最少の2枚だけでインパクトのある商品を作るか、何枚も組み合わせてストーリーリッチな商品を作るかといったセンスも問われて脳が刺激される。
The Big Idea
J.アーネスト/チーパスゲームズ(2000年)―ファンフォージ+アークライト(2011年)
3〜6人用/8歳以上/25分