西部開拓のゴタゴタ
先住民と開拓者に分かれて、陣営の利益を守りながら個人の得点を伸ばすイタリアのゲーム。今年のエッセン国際ゲーム祭で発表され、日本語版がホビージャパンから発売されたばかり。このところドイツでは見かけなくなったエリアマジョリティ(多数決陣取り)ゲームである。コマ1個の差が勝敗を分けるシビアなゲームだ。
ゲームの最初に、先住民か開拓者かを選ぶ。一斉に公開して、全員同じ陣営でなければ、1対3など偏っていても、最後までそれで進めることになっている。少ないほうの陣営は、中立コマ(NPC)を多くもつことで対抗できる。
盤上にはさまざまな資源を産出する5つの地形がある。木材なら山地、魚なら川、バッファローなら平原というように、地形によって取れる資源が異なる。ここに3個ずつ自分のコマを置き、さらに逆回りで3個ずつ中立コマを置く。コマはまとめて置いてもいいし、いくつかの地形に分けて置いてもいいが、分けておけばコマの数が減るので、陣取りで負ける恐れが高い。
コマは陣営別に分けられ、勝ったほうの陣営だけが資源を得られる。同数だとどちらも得られないというところが実にシビア。手番順を見て、後の人が最大限置いても上回れないようにするか、ほかに狙いがあると踏んで散らすかを考えなければならない。同じ陣営のプレイヤーと相談して協同することも重要だ。
勝ったほうの陣営は、中立コマを除いて、その土地に置いた自分のコマの数だけ資源をもらう。面白いことに、土地には上の段と下の段があって、先住民がほしい獲物は上の段に、開拓者がほしい資源は下の段にある。上の段が枯渇してはじめて下の段を取れるようになるので、原住民は枯渇を避け、開拓者は枯渇を狙う。
資源の獲得には協力が欠かせないが、ゲームの目的はあくまで個人の勝利点。獲得した資源で建物を作ったり、売ったお金で勝利点を買ったりする。建物は先住民か開拓者かによって異なり、収入を増やしたり、資源を増やしたりする特殊効果がある。ほかにコマを増やしたりコマの強さを上げたりもできるので、費用対効果を考えて資源を使いたい。
8〜10ラウンドで終了。全く資源が取れないラウンドもあるので、悠長に資源を集めていては間に合わない。どんどん建物を建てて勝利点を増やそう。
きっかり2対2に分かれ、私は先住民チーム。序盤は戦いを避け、コマをまとめて置くことで確実に資源を集める。それでトーテムポールを建てたものの、効果は資源が場に補充されるだけという弱々しいもの。一方、開拓者のPsy+さんと池田さんが建てた酒場は、毎ラウンド収入が入る。わざと先住民に不利にしているんじゃないかと思うようなバランスである。馬は乱獲され、森は荒野になって鉄鉱掘りが始まる。
しかし、その間にバッファローを狩っては売ってお金を貯め、入手難になっていた馬を市場で調達すると、相方さんのゴーストダンス(相手が中立コマを置けなくなる)も利用できてひそかに順調に。最後は建物をコンプリートした上、得点を勝ってぎりぎり1位。いい勝負だった。
イタリアのゲームというと、盛り上がりだけでもっていくような大味な印象があったが、このゲームは駆け引きが奥深くて、そんな印象を大きく覆すものだった。今度は不均等な陣営で遊んでみたい。
Dakota
P.チオーニ/テンキゲームズ(2010年)
3〜5人用/10歳以上/90分