人生ゲームM&A

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朝日新聞1月10日(火)夕刊5面に「人生ゲームM&A」の紹介記事。カラーでゲーム紙幣をもつ開発チームの写真が載り、開発者の地引さんがこのゲームを開発するまでの経緯を報じている。発売までにルーレットを回した時間は30時間以上。「何百回も繰り返すと、どんでん返しの興奮や駆け引きの面白みや、意外性などの適正なバランスが分かる」とのこと。また部長の池田さんは「結局、勝ち負けの決め手は『運』。そこが、ゲームとしての最高の完成度だ」と述べている。シリーズ38作、累計1千万個という怪物タイトルだが、毎回毎回工夫を重ねていることが分かる。M&Aだけでも発売数はすでに10万個に達したという。

しかしこれだけ売れているボードゲームなのに、いわゆるボードゲームフリークからは単なる運ゲームとしてほとんど無視されている。国産ゲーム全体に言えることだが、ボードゲームサイトでレポートやレビューが挙がることも滅多にない。日本ボードゲーム大賞でも国産ゲーム部門のノミネートは見送られた。ここに、一般とフリークの埋めがたいギャップを感じるのである。

このギャップは一般の人が人生ゲームやウノ以外にもよいボードゲーム・カードゲームがあることを知らないのが一因だ。日本で長年にわたって販売されてきた国産ゲームと、海外から輸入されて間もない現代ボードゲームの知名度の差が歴然としており、ブロックスのようなルールも簡単で楽しいゲームの情報がもっと広がるべきだろう。

しかしこのギャップは、フリークが作り出しているものでもある。フリークの中には子どもの頃や学生の頃、人生ゲームに興じた人がたくさんいるはずだ。それがいつの間にか、もっと面白いゲームを追い求めているうちに、人生ゲームからはるか遠いところに来てしまったのである。自分の選択がゲームに影響を及ぼさず、誰が遊んでも運だけで勝ち負けが決まるゲームを遊ぶ気にはなれない。

このギャップは新しいボードゲームの情報がもっと広がらない限り、またフリークがさらに奇抜なゲームを追い求める限り、どんどん広がっていくだろう。一般の人には、人生ゲーム以外にもルールも簡単で値段も高くなく、面白いゲームがあることをもっと知ってもらいたいし、フリークには、たとえ食傷気味であっても定番の傑作ゲームを繰り返し遊び、ウェブや身の回りに発信していくことを望む次第である。

人生ゲームM&A」に2件のコメント;

  1. 先月、とある人から「皆さんはどんな集まりの方ですか?」と聞かれ「ボードゲームを趣味で遊んでいる仲間の集まりです」と答えたのですが、その後でボードゲームとは何ぞやと色々説明する事になりました。そして一通り説明が終ったのですが、最後にその人から「お金は賭けているのですか?」と聞かれ、「いいえ」と答えるとひどく驚いた顔をしていました。どうやらその人にとっては、大の大人が部屋に篭ってゲームを遊ぶのならば、お金でも賭けなければ面白くないだろ。と言う感じだったようです。ところがその後で、その人が趣味にしている事を今度は私達が体験したのですが、その私たちの感想は「感動は無いな・・」「なんなんだろう・・」というお粗末な物ばかり。互いに互いの趣味で空振りしてしまったような体験でした(笑)。

  2. 無知は偏見を生みますね。麻雀界がタバコを切り離そうとしたように、オタクっぽいとか、不健康とか、子どもじみているとか、賭けるとか、そういったボードゲームに関わる偏見をなくしていくことも必要ですね。その一方で、自分が面白いからといって嫌がる人にも無理矢理薦めたりもしないようにしたいものです。

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