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ノイラント―新天地―(Neuland)

奪い合った獲物で配置パズル

バイキングがメインボードで獲得した獲物をマイボードに配置するセットコレクションゲーム。ギガミック(フランス)から”Looot”(獲物)というタイトルで発売され、ドイツ語版がドイツ年間エキスパートゲーム大賞にノミネートされた(大賞は『エンデバー:ディープ・シー』)。プレイ時間・難易度的には『ファラウェイ』と共に、年間大賞(赤ポーン)寄り。マイボードのパズルと、中央ボードの場所取りを組み合わせて新しいプレイ感を生み出している。

手番にはメインボードの海岸からつながるようにバイキングコマを置き、置いたマスに対応する資源(木材・羊毛・金・斧)を取る。条件を満たせばさらに建物を取ることもできる(家は自分のバイキングと隣接、塔は他の塔と自分のバイキングで接続、城は自分のバイキング4体以上と隣接)。

獲得した資源・建物はマイボードに配置。マイボードには最初から3つの建造物(港・祭壇・ヤール)があり、指示された資源・建物を全て周囲にできると得点になる。さらに毎手番、船タイルを獲得してマイボードに置くこともでき、その周囲にも指示された資源を置くことで得点を増やせる。ひとつの資源で多くの船タイルを達成できるよう、配置の工夫が試される。ゲーム終了時まで達成できないと失点になってしまうので取りすぎに注意。

全員が手持ちのバイキングを全て配置したらゲーム終了で、建物や資源の得点を合計して勝敗を決める。

メインボードのインタラクションが強め。他のプレイヤーにつなげて配置できるため「自分が置いたらその先の良いところに置かれる」という状況がよく起こるからだ。1ゲームに1回、連続手番や他のバイキングのいるマスに置ける能力が使えるため、どこで使うかがポイント。配置した斧の数で獲得できるトロフィーの獲得競争にもタイミングの駆け引きがある。

Neuland(Looot)
ゲームデザイン:C.シャヴァリエ&L.エスコフィエ
イラスト:X.G.ドゥラン
ギガミック+ゲームファクトリー(2024)
2~4人用/10歳以上/35分

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ボードゲームに関する11の事実

General Anzeiger, 11 Fakten über Brettspiele, die Sie kennen solltenの抄訳)

1.人類はいつからボードゲームをしてきたのか?
ボードゲームは紀元前11500年からで、最初は小石や豆を使ったシンプルなものだった。『イライラしないで!』(写真)は100年以上前から遊ばれている。カードゲームは印刷技術の発展とともに登場し、ボードゲームは徐々に大衆的な現象、つまり国民的遊戯に発展していった。

2. ドイツではどれくらいの人がボードゲームをプレイしているか?
世論調査によるとドイツでは55%の人がボードゲームを頻繁に、または時々プレイしている。年齢が若いほど人気が高く、14~19歳では回答者の約73%が、少なくとも時々ボードゲームをプレイすると回答したが、60~69歳では47%に留まる。

3. ボードゲームの売れ行きは?
2023年にはドイツで約7000万個のゲームとパズルが販売され、約9億ユーロの収益をあげた。ドイツには大手のボードゲーム出版社が18あり、その他に小規模出版社も多数。現在、拡張版を除いて、年間約1,000本の新作ゲームがリリースされている。

4. なぜドイツは世界一のゲーム大国とみなされているのか?
18世紀からヨハン・クリストフ・グーツ・ムーツ(Wikipedia)らによってボードゲームの教育的効果が説かれていたこと、印刷技術の発達による安価な生産、新聞や雑誌でボードゲームに関する記事が掲載されたこと、年間ゲーム大賞の設立、『カタン』の登場。

5. ゲームのジャンルにはどんなものがあるか?
対戦型/協力型/半協力型、ユーロゲーム(戦略優先で運の要素が少なく、テーマが表面的)/アメリトラッシュ(テーマやストーリー重視で運の要素が高い)、メカニクスによる分類(エリアコントロール、デッキビルド、レガシー、配置、ロール&ライト、ワーカープレイスメント)、テーマによる分類(中世、ファンタジー、SF、西部劇、犯罪小説)。「ボードゲーム」は総称で、カードゲームやパーティーゲームも含まれる。さらに「ゲゼルシャフツ・シュピール」にはTRPGにも含まれる。

6. ボードゲームの難易度は?
難易度の低い順に、キッズゲーム、パーティーゲーム、ファミリーゲーム、中級者ゲーム、エキスパートゲームという分類が広く受け入れられており、箱に記載されていることが多い。キッズゲームは主に8歳までだが、世代を問わず遊べる。パーティーゲームはルールがシンプルで初心者OK・多人数で遊べるもの。ファミリーゲームはルールがわかりやすいカジュアルプレイヤー向けの定番ゲーム。中級者ゲームは経験者向けの、少し複雑でストーリー重視のアプローチになっていることが多い。エキスパートゲームはさまざまなメカニズムが複雑に絡み合うため、数時間かかることもある。

7. ドイツにはどんな賞があるか?
年間ゲーム大賞:1979年以来、毎年、批評家からなる独立した審査員によって選出されており、世界的な注目を集める。「ボードゲームを文化財として社会に広める」ことにどれだけ適しているかを評価。受賞すると通常の10~20倍(10万~25万セット)の販売数になるという。年間エキスパートゲーム大賞、年間キッズゲーム大賞もあり。
ドイツゲーム賞:メルツ社が主にオンラインで投票を実施。誰でも投票できるため、ボードゲーム界で高い評価を受け、通常はやや複雑な作品が受賞する傾向がある。
アラカルトカードゲーム賞:業界誌『フェアプレイ』が年間最優秀カードゲームに贈る賞。
ドゥアリ:アリババゲームズクラブが毎年、出版社、著者、ゲーム販売業者を含む900名を超える会員で年間最優秀2人用ゲームを選出。
ビープルアワード:ボードゲームブロガー協会が主催するこの賞は、コミュニティのニーズなどに基づいて選出。

8. ゲームの最新情報はどうすれば入手できる?
ボードゲームブログやYouTubeチャンネル、データベースBoardgamegeek.com(BGG)、ドイツ年間ゲーム大賞・エキスパートゲーム大賞・キッズゲーム大賞のノミネートリスト・推薦リスト、エッセン・シュピールなどのボードゲームイベントで新作を試してみること。

9. 近年最も成功したゲームは何?
『モノポリー』:114カ国、47言語で発売。10億人以上がプレイしたといわれている。ただし運要素が高く、プレイ時間も長いため、ボードゲーム界ではあまり評価されていない。ターゲット層はファミリー。
『イライラしないで』:2025年に111周年を迎え、これまでに1億本以上が販売されている。
『カタン』:拡張も含めて25年以上で4500万本以上を売り上げ、40以上の言語に翻訳され、70カ国以上で発売されている。
『脱出:ザ・ゲーム』:2016年の発売以来、世界中で2500万本以上を売り上げており、30カ国以上で発売されている。

10. ゲームデザイナーは職業として生計を立てることができるか?
フルタイムのゲームデザイナーは多くない。最も有名なのは、故クラウス・トイバー(『カタン』)とライナー・クニツィア(『エルドラドを探して』『マイシティ』)。この仕事で生計を立てるには、ゲームが非常に多く売れる必要がある。ゲームデザイナーギルド協会の推定によると、ドイツの専業ゲームデザイナーは約25~30人。他にも編集者、イラストレーター、出版社、卸売業者、専門小売業者、YouTuberやブロガー(登録者数が多い)を職業にしている人も。

11. ゲームの記録にはどのようなものがあるか?
「カタンの同時プレイ人数」の世界記録は、2017年にロッテルダムにて1096人。『イライラしないで』は2023年7月には、バイエルン州アンベルクで2117人がプレイした。それまでの記録は2021年に、テューリンゲン州ヴァイダで記録された2009人。